「旅人が増えると世界は優しくなる」から、
ベスパでヨーロッパ一周!
原付バイクらしい、ゆる~いスピードで撮影された動画には、国境を超える度に建物や自然が変わる様子や、各国の個性が映し出される。陸地続きらしい変化も楽しめるヨーロッパの絶景を惜しげもなく配信しているのが、旅人アルマさんだ。
写真と映像のクオリティがピカイチ、視点が優しく表現力は豊かなナレーションや〆の言葉「ほなまた」には、ほっこりする。本業はフリーカメラマン。映像美に納得だが、なぜ“旅人”の肩書きをつけて世界一周の旅に出ているのだろう。
「僕の投稿する写真や動画で、景色がきれいで素敵な場所だと思った人が旅に出てくれればいいな、って。訪れた国、場所、出会った人が多いほど、どこかの国で何か起こったら“自分ごと”のように感じられるはず。だから旅人を増やしたい。そうすれば、世界がもっと優しくなると信じているんですよ」
そんな思いもあり、気になった場所に “止まるため”、原付バイクの旅にこだわる。日本二周のほかベトナムを走破、次はウラジオストックから世界一周へ! と、考えていたが、コロナで延期したところにウクライナ情勢が重なり、分割での世界一周に変更。
その計画の第一弾であるヨーロッパ一周を実行すべく、今年6月にイタリアに向かった。
イタリアを出発し、次に入国したのはスイス。山々の絶景は見事だったが、驚くべきはベスパでその山道を登ったことだ。50ccの原付きで……。すれ違う車やバイクは、さぞ驚いたことだろう。
しかし、ベスパも頑張りすぎたのか、旅の中盤からは、オイルチューブが切れてエンジンが焼き付く、パンクほか、車体トラブルが頻発。手を差し伸べてくれたのが、各国のバイカーたちだった。
「ベスパのドライブベルトの交換は20ユーロ(約2900円)でしたが、おじさんがお代を奢ってくれました。ほかに、修理を待つ数日間泊めていただいたり、食事をごちそうになったり、パンクした時は通りがかったバイカーさんがどこかへ電話してくれたらJAFみたいなサービスが来たり。感謝しかないです。人々の優しさに助けられて旅をしていますね」