たとえ雨が降っても満足できそうな、未訪の地はどこだろう

天気予報を見ると、残念ながらこの先はあまり天気が芳しくなく、半分くらいは雨、残りの日もほとんど曇りばかりで、すっきり晴れる日はなさそうだ。
とすると、自然の景色を見にいっても、不完全燃焼になることが予測できた。

たとえ雨降りの日でも満足できて、これまでに行ったことがない旅先はどこだろうか?
そう考えた僕は方針を定め、進路を北西に取った。
目的地は岐阜県。
本州中心部の深い山の中に残る、日本の原風景とも言える古い街並みや建造物を見に行くことにしたのだ。

国道139号から精進湖の手前で国道358号へ。甲府市街地で今度は国道20号へ移り、どんどん北上していった。
途中、山梨県中央市の「みたまの湯」で入浴することにした。
ほとんどの施設が500円以下だった東北地方の温泉と比べると、税込780円と割高なのだが、まあ仕方がない。
「みたまの湯」は、烏龍茶のような茶褐色でトロリとした泉質。非常に気持ちよかった。

土砂降りの車中泊の旅。秋の木曽路から飛騨路をどんなふうに走ったか_4
土砂降りの車中泊の旅。秋の木曽路から飛騨路をどんなふうに走ったか_5
眺望が素晴らしかった「みたまの湯」

ここの温泉の最大の売りは眺望で、露天風呂からは甲府市街の夜景が一望できる。
温泉では全国初の“夜景100選”に認定されているらしく、この眺めを楽しめただけでも来た甲斐があった。

夕食は「みたまの湯」の食事処で“煮カツ重”を食べた。
卵でとじた普通のかつ重のように思えるが、山梨県ではこれを“煮かつ”と呼び、ただ“かつ重(丼)”と言うと、他の地域では“ソースカツ重(丼)”と呼んでいるものが出てくるのだとか。
旅をしていると、こうした小さな「へえ」に次々と出くわす。

土砂降りの車中泊の旅。秋の木曽路から飛騨路をどんなふうに走ったか_6
カツ重ではない、煮カツ重なのだ

「みたまの湯」をあとにした僕は、再び国道20号を北上。
長野県との県境手前で東へ方向を変え、21時過ぎ、道の駅こぶちさわに到着した。
ここで、朝まで休憩し、仮眠をとるのだ。