血のつながりのない人たちに支えられて今の自分がいる

この取材は長村さんと茂田さんの簡単なプロフィールから、2人の出会い~いったんの誕生までを順を追って質問していた。ここで茂田さんに聞いておきたいことがあった。

それは「血縁関係はなくても、いわゆる絆は育まれる、つくっていけると考えてらっしゃいますか?」というものだ。

茂田「そうですね。私自身、自分の変化として、一緒に過ごす時間を共有し、成長を見守ったりしていて愛着が湧くことを実感しました。自分のつくったミルクをおいしそうに飲んでいる、おむつを替えるとすっきりした顔をする。ひとつひとつ関わっていくことで絆が育まれていくと感じています。

血のつながりより、一緒に過ごす時間のなかで、どう向き合い関わっていくのかが家族をつくっていくと考えています。血縁関係があっても仲が良くない、連絡を取らない親子関係もありますし、生まれたところはひとつのきっかけに過ぎないのかなと。すでに10か月育児をしていて、この子の親は自分だと思っているし、この子を守りたい気持ちがあるので」

長村「私は自分の育った家庭がいろいろあって、家に帰るのが憂鬱でしたし、学校ではいじめにも遭っていたし、毎日死にたいと思っていました。母も亡くなった父も好きですし、感謝もすごくしているけれども、私の命が今あって生きていられるのは、血のつながりのない人たちに支えられてきたおかげだと思っているんです。

私たちがつくっている今の家族は、こうでありたいという理想はあるけれど、生まれてきた子にとって、私が過去、自分の家族に感じたように、安心できずに憂鬱な場所になるかもしれない。でもそうしたら、助けてくれる人や逃げられる場所を用意しておくことは、できる限りしたいと思っています。その子を支えてくれる人がたくさん集まってくれる環境がベストだと思っているので」