学校を「健康な人間関係」が学べる場に

高橋:私は「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に則った性教育をスタンダード化してほしいと強く願っています。また、避妊や中絶の知識以前の、人間関係なども学んでほしいです。

みゆさんから、寂しさを埋める性行為の背景に家族関係があるという言葉が出ましたが、性教育の国際基準である「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」には、「健康な関係」と「不健康な関係」という言葉が出てきます。これらは5〜8歳の段階の教育で教えることが望ましいと示されています。

その理由は、子どもたちは自分の所属する環境しか知らないため、たとえその環境が不健康であっても、気付くことがとても難しいからです。学校の教育で「健康な関係」と「不健康な関係」を教え、気付けるようにしてあげられれば、水面下で苦しんでいる子どもを救ってあげられる可能性が出てきます。

「健康な関係」と「不健康な関係」という言葉自体も、子どもたちにとても伝わりやすいシンプルな言葉ですよね。こうした基礎的な知識を基盤にして、最低限の避妊方法や妊娠後の対応という知識にたどり着けるようになってほしいです。

そして、そういう話題を「自分たちに必要な話題だ」という意識のもと、学校で堂々と話し合えるようにしてほしいです。

スウェーデンで小学校6年生を指導している先生にお話をうかがったのですが、その方のクラスでは、私が日本の中学3年生に向けて90分の講義で行なっている避妊などについての内容を、6時間かけてじっくり行うそうです。しかも子ども同士のディスカッションで行うのだそう。日本でもこういった話し合いを堂々と学校でできるようになるといいなと思いますね。

参考資料
「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」(性を学ぶセクソロジー)
「10代の妊娠 友だちもネットも教えてくれない性と妊娠のリアル」著者:にじいろ、監修:高橋幸子(合同出版)
セーフアボーションジャパンプロジェクト

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