伝えたい思い
――『S-PARK』 に就任後、はじめての現場取材でロッテの佐々木朗希投手が完全試合を達成。海外取材では、エンゼルススタジアムで大谷翔平選手のプロ入り後初となる満塁ホームランを目撃。“もってる”アナウンサーとして大きな話題になりました。
いきなりそんなすごい場面に遭遇して、戸惑いと興奮とが、ごちゃごちゃになって押し寄せてきて。長年番組に携わっているスタッフからも「1回目で見られるなんて、どんだけ“もってるんだ”と羨ましがられましたが、今になってもしかしたら、この2回で運を使い果たしたのではないかと、ちょっと心配になっています(笑)。
――スポーツの現場は楽しいですか?
楽しいです! 現場の空気を感じて選手のみなさんを取材させていただき、この選手は今こういうふうに思っているんだとか、こういう思いで戦っているんだという声を直接伺って。スタジオにいたときとは明らかに違った見え方をしています。
――それをどう受け止めて、どう伝えるかが難しいんでしょうね。
難しいですねぇ。一生かかっても答えは出ないのかもしれません。きっとそこに正解はないのだと思います。だからこそ、私が現場で感じ伝えた言葉の中に、その選手の思いが存在しているのかどうかを大切にしたいと思っています。
――11月に開催されるサッカーのカタールW杯では、フジテレビで10試合中継することが決まっています。
選手のデータは、まだまだ完璧とは言えませんが今、頭の中に必死に書き込んでいるところです。でもそれで終わりではなくて、チームの戦術や監督の考え方などを、どう伝えるのか。まだまだやることはたくさんありますね。
――その中で、佐久間アナウンサーが一番伝えたいことは?
スポーツはどうしても結果が全てと捉えられる点もあります。それはわかりますし勝敗を抜きにして伝えることができないというのも、十二分に理解しています。でもそれだけではないというのが、私の中にあって。過ごしてきた時間や、思い、熱量、どうやって世界と戦える場所に辿り着き、そこでどう戦ったのか。そこを受け止め、短い言葉で放送に乗せる――。それが私に与えられた仕事だと思っています。
――弱点は「心配性で考えすぎてしまうところ」とあったので、ネガティブな感じなのかなぁと思っていましたが、ものすごく真面目でものすごくポジティブなので驚きました。
すぐに笑って、ヘラヘラしてしまうのでそう思われるのかもしれないです。
でも根はネガティブで、すぐに考え込んでしまうタイプなんです。
――信じられません(笑)
本当なんです。でもずっとネガティブでいると、正直疲れてしまうので、“まぁ、いいか”となることもありますけど……。
――ネガティブに疲れる?まぁ、いいか? それって本当はポジティブってことなんじゃないですか? 佐久間アナウンサーが考えるネガティブだという根っこの先に、まだ先があって、そこはポジティブな気がします。
ほんとですか!? だと嬉しいです。少しは私も進歩しているってことですよね? なんだか、やる気が湧いてきました(笑)。
取材・文/工藤晋 撮影/石田荘一
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