就職活動中支えてくれた友人の存在
――お金の面以外だと、頼れる人が周りにいないのではないかと想像します。
小山内 たしかに、初めて面接会場に着いた時はアナウンススクールのつながりなのか、「久しぶり〜!」と声を掛け合っている子たちを見て「おお…」と怖気付いてしまいました。
山﨑 そうでしたね。私の場合、東京に来たこと自体1回しかなかったですし、頼る人が誰もおらず、本当に孤独でした。だから採用試験中に、たくさん友達を作ったんですよね。
小山内 え、すごい! 山﨑さんから声をかけたんですか?
山﨑 私が受けた当時、キー局の試験日程が全部一緒だった上に毎日行なわれていました。それで、どの局も最後の方まで残る人が固定されていたこともあって、自然と仲良くなっていったんですよね。
アナウンサーになれたのは「よく見せたいと思っていなかったから」
――面接でもう1つ気になるのは、標準語で挑むか方言のままかという問題です。おふたりはどうされましたか?
小山内 アクセントやイントネーションを気にしてアナウンサースクールに通っている子もいて、私も3日間だけ短期のものを受けました。でも、完全には方言が抜け切らないまま試験を迎えました。
山﨑 私は自分がしゃべっている言葉が標準語だと思っていたタイプなので「標準語にしなきゃ」とすら思っていませんでした。でも、他の子たちの原稿読みを聞いた時に「これはかなわない」と思って、すごく感情を込めて読んだのを覚えています。「雪がしんしんと……」って(笑)。そういう試験ではなかったのに。
小山内 それもまたすごい話ですね!
山﨑 でも後から聞いた話では、人事の方も「のちのち苦労するんじゃないか」と心配していたみたいです。だから、もしもスクールに通えるなら通ったほうがいいのかなとは思います。入社後にはアクセントの勉強に充てる時間も減りますからね。
小山内 そうですね。ただ、方言に関してはやる気さえあれば、入社後でもどうにかなるなと思いました。フジテレビの場合、1年半かけて丁寧に研修をしてくれましたし、私はそれが楽しかったので。
山﨑 それは本当にそうだね。こんなにも研修が充実しているんだと驚きました。
小山内 一番もったいないのは「訛ってるから、受けない」と思っちゃうこと。アナウンスの大会で1位を取っていたり、スクールで優秀だった子だけが受かる訳ではありませんからね。興味がある方にはぜひチャレンジしてもらいたいです。
――さまざまな面で苦労しながらも晴れてフジテレビのアナウンサーになったおふたり。なぜ受かったんだと思いますか?
山﨑 記念受験のつもりで受けたからというのが大きいかなと思います。そもそも親からも「社会経験のために受けてきていいよ」って言って送り出してもらいましたし、本当に受かるなんて思っていませんでした。
小山内 わかります。私も受かるわけないと思っていました。それに東京のテレビ局で働いている人とお話しする機会って、当時の私に取っては今後ないかもしれない貴重な機会だったので、「とりあえず楽しむか!」という姿勢で臨めたのが大きかったのかなと思います。
山﨑 もともと緊張すると手が震えてしまうようなタイプなのですが、当時は「よく見せたい」とすら思っていなかったんですよね。だからリラックスした状態で受けていましたし、自然体で会話ができたのがよかったのかもしれません。
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取材・文/於ありさ 撮影/松木宏祐