サントラ盤が世界中で大ヒットを記録

夏フェス! クライマックスの熱狂ライブにぶち上がる音楽映画5選_4
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『プリンス/パープル・レイン』(1984)Purple Rain 上映時間:1時間51分/アメリカ

ロックとブラック・ミュージックをクロスオーバーして、1980年代に音楽シーンの頂点に立った孤高のカリスマ、故プリンスの初主演映画。ミネアポリスで人気を博すバンドのフロントマン、キッドの栄光と挫折、復活までの道のりをドラマチックに描いた青春ドラマだ。プリンスと彼のバンド、ザ・レヴォリューションによるサントラ盤は世界中で大ヒットを記録した。

本作のクライマックスもコンサート場面が主体。すべての苦痛を乗り越え、仲違いしていたメンバーたちと和解をするかのように奏でられるロッカバラード『パープル・レイン』は、ブリンスの熱唱はもちろん、狂おしい音色を奏でるギターソロも迫力満点で、ひたすらエモい。立て続けにプレイされる『ダイ・フォー・ユー~ベイビー・アイム・ア・スター』は一転してファンキーなロックンロール。熱狂を引き起こす、この流れだけでもプリンスの非凡な才能がうかがい知れるはずだ。

巨匠監督が手がけたドキュメンタリー

夏フェス! クライマックスの熱狂ライブにぶち上がる音楽映画5選_5
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『ボブ・ディラン/ノー・ディレクション・ホーム』(2005)No Direction Home: Bob Dylan 上映時間:3時間21分/アメリカ

音楽ドキュメンタリーに傑作は多いが、最後は鬼才マーティン・スコセッシによる本作について触れておきたい。ボブ・ディランは60年にわたり第一線で活躍を続けている、言わずと知れたレジェンド的アーティスト。アコースティックギター1本で硬派なフォークミュージックを放ち、脚光を浴びた彼は1965年、アコギをエレキギターに持ち替えて、バンドを編成して新境地を切り開こうとする。ところが、これにファン猛反発。フォークを捨てるなんて、とんでもない! そして迎えた1966年の英国ツアーは、歓声とブーイングに包まれる。

本作がスポットを当てるのは、この時期のディラン。ファンは口々に「落胆した」と語るが、当のディランは我が道を歩き続ける。映画のラストは1966年、マンチェスターでの公演。「裏切者!」という観客の罵声に対し、「信じられないね。あんたは嘘つきだ」といなし、『ライク・ア・ローリング・ストーン』の鬼気迫る演奏に突入。己を曲げないアーティストの真髄が、ここにある。



文/相馬学