“木を食べるギャル”が里山の救世主に? 間伐材を使ったクラフトジンが人気_4
森に入って草木を調査する古谷さんと木本さん
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“木を食べるギャル”が里山の救世主に? 間伐材を使ったクラフトジンが人気_6

食通にもウケる「木を飲む」体験

こうして二人で全国の山に分け入り、そこに生えている草木を調査することに。

木本 勝手に入ると不法侵入になることがあるので、山の持ち主や林業組合の方に許可をもらって、案内していただいています。

古谷 木を見て、「美味しそう!」とか言うので、変人たちだよね(笑)。

木本 木の匂いを嗅いだり、かじったりして、「ウマい!」とか言っているので、皆さん目が点、みたいな(笑)。でも、一緒に食べてみてもらうと、「おっ!?」となるんです。彼らは毎日山に入っている、山のプロ。でもだからこそ見えない、山の魅力があるんですよね。

出会った草木の魅力を「美味しく、楽しく」伝えるため、商品を開発。第1弾として発売したのが、「フォレストシロップ」と「フォレストソーダ」だ。シトラスのような華やかな香りを持つアカマツや、カラマツ、ヒノキ、モミなどを蒸留して生み出した。

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「フォレストシロップ」720ml(¥4,980)、200ml(¥1,980)

木本 最初はキャッチーで、注目を集められる商品にする必要があると思いました。ドリンクなら、いろんな人にいろんなシーンで飲んでもらえるし、「木を飲む」という体験を面白がってもらえるかなって。最初は、そのまま飲めるソーダのほうが飲みやすくて人気になると思っていたんですけど、実際にはシロップのほうが売れてますね。食通の方が買われているようで、自分でアレンジできるほうが喜ばれるみたいです。

古谷 カクテルに入れても美味しい。バーテンダーさんの反応も良かったです。

その後、希少な胡椒の実を塩漬けにした「森の生胡椒・フウトウガズラ」や、「琉球シナモン」と呼ばれる沖縄のカラキなどを素材にした「草木塩」などを発売。そして今年4月から予約販売をして話題になったのが、「フォレストジン」だ。原材料は、スギ、ヒノキ、ナラ、コウヤマキなど。アルコール度数45%のキリッとした舌触りと、深い森で深呼吸をしたときのような心安らぐ香り、そしてバニラのような優しい味もほのかに寄せてくるから不思議だ。

木本 7種の香木をきび砂糖ベースのお酒に5日間漬け込んで蒸留しています。普通の蒸留酒は、果実やハーブを漬け込むんですが、これは木だけなので、甘みが一切ない。でも成分分析してみたら、バニラの成分が検出されて、甘い香りがするんです。成分で多いのは、覚醒状態を沈静化する「酢酸ボルニル」。体内に取り込むと森林浴と同じ効果があって、眠りが深くなるという研究結果も。肌質改善効果もあるので、今後はハンドクリームを作ったりもしたいと考えています。

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「草木酒|フォレストジン」500ml(¥5,980)、100ml(¥2,390)