暗い表情をすると脳の働きは悪くなる
人は、幸せだから笑顔になるのではなく、笑顔でいるから、幸せを引き寄せているのかもしれません。
私が以前、日本大学医学部附属板橋病院の救命救急センターに勤めていたときのことです。上司としてスタッフに課していた、ある習慣がありました。
それは「鏡の前で最高の笑顔をつくってから、出勤すること」です。笑顔をつくると、それによってスイッチが入って気持ちが明るいほうへと向かうからです。
明るい気持ちになるだけで、脳の働きがよくなり、仕事のパフォーマンスも上がるのです。
笑顔をつくると否定的なことや暗いことは考えにくくなるものです。なぜなら顔の筋肉とA10神経群には密接な関係があるからです。A10神経群のなかの「尾状核」は表情をつかさどっていますが、楽しくて笑っているときは、A10神経群が活発に動き、脳の働きがよくなります。
一方で、特に楽しいこと、おかしなことがなくても笑顔をつくるだけで、顔の表情筋の作用で「尾状核」が刺激され、どこか楽しいような気分になるのです。
病院では脳の損傷によって意識を失っている患者さんをよく診ましたが、目や口の周りの表情筋を刺激して反応があれば、表情をつかさどっているA10神経群の尾状核の機能が残っていると判断して、治療にあたっていました。
笑顔で人と接し、明るい顔で仕事をすれば、それだけで脳はパフォーマンスを高めてくれます。まずは1日の初めに鏡に向かって、笑顔をつくる練習をすることから始めてみてください。
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