「大きかったらおもろいやん」で製品化

約6000もの工場が立ち並ぶ「ものづくりの都」、大阪府東大阪市にユニークな家電を生み出している会社がある。

この会社ではこれまでに100種類以上の商品を販売していて、中にはカップ焼きそば「ペヤング」専用のホットプレートである「焼きペヤングメーカー」や、直径10センチのたこ焼きをつくる「ギガたこ焼き器」といった、くすりと笑ってしまうようなものも数多くある。

「ギガたこ焼き器は、『大きかったらおもろいやん』というだけの理由で商品にしました」

大阪発、“いてまえ家電”の突破力_a
直径約10センチのたこ焼きが作れる「ギガたこ焼き器」。焼くのに約20分かかるので、その間に普通サイズのたこ焼きを楽しめるよう細かい配慮が。現在までに2万8000台を売り上げた(写真提供:ライソン)

こうあっけらかんと語るのは、製造元であるライソン株式会社の山俊介社長(40)。基本的には、面白くて、開発コストなどが見合うものであれば大抵の企画は通るという。その上で、決して万人受けしないこともポイントに挙げる。

「うちの商品は、他社にはない非日常感のものばかり。マーケティングをして、たくさんの人がほしがる商品をつくるのではなく、100人に1人、めちゃくちゃ突き刺さればいいんやという思いで作っています」

このいわば「いてまえ精神」、「一点突破主義」こそが同社のビジネス戦略なのだ。

大阪発、“いてまえ家電”の突破力_b
ライソンの山俊介社長(写真提供:ライソン)

そうした姿勢が消費者にも好感を持たれている。例えば、「せんべろメーカー」は、焼き鳥やおでん、惣菜などを目の前で調理しながら晩酌できるという商品。実は山社長自身がほしいと思って企画・開発したものだが、コロナ禍での巣ごもり消費の影響などで、年間1万台も売れた。