全員が予想していた「サプライズ」
『VIVANT』は、最高で最悪のドラマなのかもしれない。
10月25日放送の第22話で、乃木憂助(堺雅人)の父・ノゴーン・ベキ(役所広司)の生存が明らかになった。第1シーズンの最後、乃木に撃たれたはずのベキたちは、急所を外され、死を偽装していたという。
だが、これは驚きよりも「やっぱり」が先に来る展開だった。ベキは生きている。そう視聴者から予想され続けてきたなかでの、あまりにも予想どおりのサプライズだ。ただ、分かっていたからといって、すんなり受け入れられるわけでもない。
父を撃つ乃木の姿に感じた緊張や葛藤まで、後から取り消されたように感じる。あの親子の対峙を真剣に見ていた気持ちはどうしてくれるのか、と言いたくもなる。
そして今回は、ベキ以上にドラム(富栄ドラム)の描写もなかなかのものだった。劉銘軒(リュウ・ミンシュエン/堺雅人)に腹部を拳銃で何発も撃たれ、口から血を吐いて倒れ、土に埋められた。ところが、チンギスに救出され、生還する。弾が内臓まで達していなかったから生きていたというが、さすがにそこまで見せておいて助かるのは無理があるだろう。
シーズン2では、新庄浩太郎(竜星涼)も、撃たれ、遺体まで示されたのに生きていた。それぞれ助かった事情が違うのは分かる。でも、見ている側からすれば、またしても「実は大丈夫でした」だ。どれだけそれらしい説明をつけても、何度も使っていい展開ではないはずだ。
一度ならほっとする展開も、こう重なると「どうせ助かる」が先に来てしまう。次に誰かが倒れても、悲しむ前に生存の仕掛けを探してしまう。命の危機を盛り上げるための演出が、繰り返すほど命の危機を軽くしている。ドラマの緊張感を保つうえでは、かなりまずい手だ。
















