『VIVANT』に染まっているTBS

なんといっても『VIVANT』が話題だ。

それはドラマ本編に限った話ではなく、ゲスト出演が可能なTBSのバラエティ番組には、ほぼすべてに『VIVANT』の出演者が出ているんじゃないかと錯覚するほど、局をあげて盛り上げている。

こうした盛り上げ方は、いかにも「テレビ」らしく、どこか懐かしい。そもそも2クール続く大型ドラマ自体、久々のことだ。

しかし、途中でアジア大会のため2週にわたって放送が中断した。

その間も、いわゆる「考察班」たちが物語の真相やその後の展開についてネット上で盛んに予測を交わしていたようだが、個人的には『VIVANT』はもう、そうした考察を楽しむドラマではなくなっている。

主演の堺雅人 (C)産経新聞社
主演の堺雅人 (C)産経新聞社
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再開された10月4日放送の第19話では、冒頭約6分にわたって、これまでのストーリーが語られていた。

その語られた部分だけで、「死んだはずの人物が実は生きていた」パターンが3人もいる。

裏切られたと思ったら、実は裏切ったフリだった、とか、その逆も何度も繰り返されている。なんでもあり、のように見える。

つぶさに見ていけば、その“伏線”もあるのだろうが、もはや誰が死んでも、誰が裏切っても、信用できない。だから、実は生きていても、実は裏切っていなくても驚かない。

物語を裏切りすぎると、それはもう「裏切り」ではなくなってしまうからだ。けれど、それでも見続けたいと思わせる強烈な“吸引力”は、確かにある。

それはキャストやキャラクターの圧倒的な強さだ。

役者陣はみな超一流。本来なら抑えたリアリティのある演技を得意とする役者ばかりだ。

しかし、『VIVANT』では、状況を説明している場面以外は、大半で感情を爆発させている。リアルが重視される作品では、ここぞという場面に限られるそれを、常に求められているのだ。

役者陣はその“過剰さ”を楽しむように演じている。役者の「感情爆発表現の見本市」のようだ。