明報社説「日本の実業家を通じて高市氏に圧力」
議連には、関係を立て直すための条件と環境を整えるよう求めたという。
若手議員団にも、元外相が率いる経済団体にも、中国は同じ方向の働きかけをしている。高市氏の言動が問題だと告げ、日本からの来訪者に関係修復の役目を期待する。
発表を並べると、接触を重ねながら一つの方向へ押していく姿が浮かぶ。岩屋訪中を、1人の政治家が勇気をもって関係改善に動いた話として片づけるわけにはいかない。
香港紙・明報の10月5日付社説の見出しはもっとあけすけだった。民間を通じて高市早苗氏に圧力をかけるという趣旨の文言を掲げている。「以民促官」、つまり民間から政府を動かすという意味だ。翌6日の英文欄も、日本の実業家を使って高市氏に圧力をかけるという題を掲げている。
岩屋氏の訪中後も経済界との接触は続く。SCMPは10月17日、11月の経団連訪中団について、中国側が人数を5人から約20人に増やすことを認めたと、共同通信の報道を引いて伝えた。
訪問団は約20人に拡大する見通しだという。記事では、経済面での影響力を使って日本政府に圧力をかけているという専門家の見方も紹介された。
経済交流が政治的圧力の経路になる懸念
政府への圧力は緩めないまま、企業とは話を進める。この組み合わせに注意が要る。企業が中国との取引を続けたいと望めば、政治家はその声に耳を傾ける。そこに中国の政治的要求を乗せ、日本政府まで持ち帰らせる。経済交流を政府を動かす道具にする、という読み方である。
ただし、中国側がそう期待することと、日本側がその役割を引き受けることは別だ。企業が商売を守ろうとするのは当たり前のことだ。経営者は社員の生活を背負っている。
ただ、その期待を預かって中国へ行く政治家には、企業が困っていることと日本政府が間違っていることを混同しない責任がある。取引が止まって困るからといって、中国が求める政治的譲歩が正しくなるわけではない。
そこを取り違えると、企業のために始めた働きかけが、いつのまにか中国の要求を国内に通す役回りに変わってしまうおそれがある。日本企業を守ることと、日本の首相に中国への歩み寄りを迫ることが、ひとつに重なってしまうのだ。外相まで務めた政治家に求められているのは、この混同を防ぐことだ。
高市政権の政策に反対なら、自分の理由と根拠を示して日本の有権者を説得すればいい。中国の高官に会えたことは、日本国内でその主張が正しい証拠にはならない。外国政府が歓迎する政治家と批判する政治家を色分けしたからといって、日本の側までその色分けに従う義理はない。













