地域活動が盛り上がって改称

旧駅名の「五和」のままなら、どこにでもある無人駅の一つのまま終始したかもしれない。だが、地元住民を中心とする活動の結果、令和になって「合格」駅と改称されて、一躍、注目を浴びるようになった。旧称が惜しいというより、改称して活性化したのなら、それで良かったと思える駅だ。

静岡県大井川鉄道 合格駅
静岡県大井川鉄道 合格駅
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駅名の由来は1889(明治22)年に発足した五和村。安土桃山時代に大井川が付け替えられた際、元の河道が開墾されて五つの新しい村が出来た。これが「五ヶ村」と呼ばれ、やがて周囲の村も合わせ、広域地名が「五箇」になったという。

それが明治の合併の際に、五箇を改めて「五和」とした。一緒になった村々の"和合”を大切にするため和の字を使い、元の音に合わせて“カ”と呼ばせたとも言われている。五和村は1957(昭和32)年に金谷町と合併し、村名は消えた。

1927(昭和2)年に大井川沿いの開発を目的として大井川鉄道(当時・2000〈平成12〉年に大井川鐵道に改称)が開業した際、五和村にも駅が設けられ、村名から五和駅と命名された。

SL列車が走るようになっても停車はせず、電車が数少ない客を乗り降りさせる駅として、そのまま80年あまりが過ぎた頃、この駅が大きく動き出した。地域起こしの一環として、2014(平成26)年に「チームおもしろ五和駅」が地域住民を中心に結成され、管理する駅員もいなくなって荒れていた五和駅の活性化を図るようになったのだ。

翌2015 (平成27)年の受験シーズンに、駅名が「ごか」であるのをもじって、駅舎に“合格”駅との看板を掲げた。さらに2016(平成28)年には、地元の木彫家に依頼して製作した“合格地蔵”を駅舎内に安置するなど、次々に新しい活動を展開した。

大井川鐵道としても、これに協力。賑わい交流拠点として五和駅の近くに整備された体験型フードパーク「KADODE OOIGAWA」の開業に合わせて、新駅「門出」がここに併設されることになり、ついには隣の五和駅も2020(令和2)年11月12日に「合格」駅に改称。

合わせて縁起の良い名として、記念乗車券などの売り出しを図ったのだった。この両駅の間は500mしか離れておらず、お互いが見えるほどだが統合はされず、駅名を活かした施策が展開されている。

文/土屋武之

『全国駅名、ほんとうの話』(交通新聞社)
土屋武之
『全国駅名、ほんとうの話』(交通新聞社)
2026年10月15日
1210円(税込)
214ページ
ISBN: 978-4330052267
日本全国にはJRや私鉄を含め約1万弱ほどの駅があり、それぞれに独自の駅名が付けられています。
駅名は単なる整理番号とは違い、地域の歴史や地形、文化、人々の営みと深く結びついた“地域の物語”を映し出す存在。
しかし日常的に利用する駅であっても、その名前の由来を知らないまま通り過ぎている人は多いと思います。

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