働かない社員によるぶら下がりを許さない少数精鋭
同業の大手総合デベロッパーから中途採用でヒューリックに転職したB氏は同社の経営スタイルについて、「とにかく無駄がない」と分析する。
前職時代は会議が多く、参加しても喋るのは上役だけで一言も発しないようなケースが多かったが、ヒューリックでは会議に参加する社員が資料を事前に読み込んでおり、「なんとなく会議に参加するということは許されず、勤務中もダラダラ働くのではなく、フル回転することが求められる」という。
単体の社員数は2025年12月時点で234人と、森ビルの7分の1以下。働かない社員によるぶら下がりを許さない少数精鋭の集団だからこそ、好待遇を実現できているともいえる。
オフィスから始まった事業は拡大を続け、いまやホテルや商業施設、再エネにデータセンターと事業の多角化を進めているヒューリックだが、現在もっとも力を入れているのが教育事業だ。
2024年に個別指導塾「TOMAS」などを運営するリソー教育グループを子会社化し、2025年4月にはビル1棟に塾や習い事、保育施設などを集約した子育て拠点「こどもでぱーと」を中野とたまプラーザで開業した。
今年7月には東大や医学部進学の名門学習塾「鉄緑会」の運営企業である東京教育研の全株式取得と完全子会社化を発表し、メディアを賑わせた。
さらに10月13日には、リソー教育グループの完全子会社化を目指すTOBを発表。買付期間は10月14日から11月26日、買付価格は1株295円で、教育事業への関与を一段と深める構えだ。
なぜ、利益率の低い教育事業に…
一連の取り組みについて、競合デベロッパーのA氏は「ヒューリックの強みは収益性の高い不動産への選択と集中であり、利益率が低い教育事業は相性が悪いのでは」と疑問視する。
実際、子会社化したリソー教育グループの2026年2月期の連結営業利益率は7.9%と、ヒューリックの2025年12月期の約25.7%を大きく下回る。
鉄緑会の運営会社も買収額は非公表ながら報道では数百億円規模とされる。難関大学を目指す中高生を対象としたビジネスモデルであり、「どのように投資額を回収するのか、想像もできない」(A氏)。
一方、ヒューリックは新規開発を前提としておりストック型のビジネスモデルではないため、建築コストが高騰する中、新たな事業に打って出ないと成長路線を維持できないという事情も見え隠れする。
業界内のみならず株式市場でも評価が割れる教育事業への積極投資だが、B氏は「西浦会長肝いりの案件なので、そもそも社内では反対するという選択肢がない」と明かす。
銀行傘下の資産管理会社をわずか20年で日本有数の不動産デベロッパーへと躍進させた中興の祖である西浦氏は社内でも絶対的な存在。将棋界への支援についても、西浦氏の将棋への関心が関わりのきっかけとなり、女流棋戦の創設などへと広がってきた。













