「教育費」よりも「老後資金」のゴール設定を先にする

人生にはお金のかかるイベントが多いが、資産運用の力を使って備えるべき大きな山は2つ。「教育費」と「老後資金」だ。住宅や車はローン(借金)を活用すればよいし、日々の生活費はフロー(収入)で賄う。

この2つの山の登り方には、明確な優先順位がある。
結論から言うと、「まずは老後資金のゴール設定が先」である。

なぜなら、教育費には「奨学金」や「教育ローン」という借りる手段(助け船)がある。
しかし、老後資金を貸してくれる銀行はない。自分が働けなくなったときの命綱は、早くから自分で用意するしかない。だから金融所得を若いうちからコツコツ育てていく必要がある。

残酷だが、老後の貧困は誰のせいにもできない。老後の豊かさというのは、君の40年間の通信簿である。子どもに「介護費」を背負わせたくなければ、教育費よりも先に自分の老後資金と真剣に向き合おう。

老後資金、夫婦なら独身の2倍必要?

ここでよくある質問に答えよう。「仮に独身で2000万円必要だとするなら、夫婦なら4000万円必要なのか?」。

結論から言えば「独身でも夫婦でも、用意しておくべき目標額を大きく変える必要はない」。つまり、2倍もいらない。
理由は2つある。

➀生活費は「√(ルート)倍」でしか増えない

人数が2人、3人と増えたからと言って、生活費も単純に2倍、3倍になるわけではない。家賃は2倍にならないし、食材や光熱費も共有できる部分は多い。統計的に、世帯人数と生活費の関係は「√倍(ルート倍)」になると言われている。

2人で暮らすコストは、1人のときの√2倍(約1.4倍)程度で済む。3人なら√3倍(約1.7倍)、4人なら√4倍(約2倍)…といった感じだ。これは目安としてわかりやすいので、ぜひ覚えておいてほしい。「子どもをあと1人生んだら、どれくらいの生活費になるかな?」と想像するのにも役立つ。

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➁年金は「人数分」もらえる

生活費は1.4倍に抑えられるのに、収入(年金)はきっちり2人分もらえる。
例えば、独身の年金が月14万円、夫婦(夫14万+妻10万)で月24万円としよう。

・独身の生活費を年金14万円+15万円=29万円とする
・これを1.4倍すると40.6万円になる
・夫婦世帯は年金24万円に加えて、プラス16.6万円 

15万円と16.6万円。独身と夫婦世帯の差はわずか1.6万円。つまり2倍にはならない。毎月不足する金額(=資産から取り崩したり労働で補う額)は、独身でも夫婦でもそこまで変わらないのだ。

「夫婦だから2倍貯めなきゃ」と過度に気負う必要はない。2人で力を合わせて独身と同じ額をつくればよいのだから、むしろ安心してよい。