「東京タワーが見える部屋ならともかく…」
過去10年以上、都心のマンション価格上昇が続いたのは、サラリーマンが低金利の住宅ローンを活用してレバレッジをかけて不動産を買っていたことが大きい。
金利上昇はこうした層を直撃した。仮に35年ローンで1億円を借りていた場合、金利が1%上がると月々のローンの返済額は5万円程度上がっている計算となる。
いくら大企業で賃上げが盛んだといっても、手取りで毎月の給料が5万円増えているという人はそこまで多くないだろう。また、銀行もかつてに比べて融資を絞るようになり、予算そのものが減るという負のサイクルは既に始まりつつある。
2億円を超えるような物件は富裕層にも訴求していく必要があるが、A氏はこれらの物件について、「市場のことがわかっていない」とバッサリ斬る。
例えば、シエリアタワーの開発は関西電力系の関電不動産開発。東京では実績が少なく、ブランド力が高いとはいえない。
また、南麻布といっても、立地するのは大通りと高速道路に面しており、最寄りのスーパーも業務系の店舗で高級感があるとはいえない。「東京タワーが見える部屋ならともかく、そうでない部屋に2億、3億円を出す人は少ないのでは」と話す。
「絶対に値上がりすると聞いていたのに、話が違う」
三井不動産や三菱地所のような富裕層に強い大手デベロッパーは別として、かつては「今なら高値で売れるから」と高値で土地を取得して強気の値付けをしたものの、市況の変化によって在庫となり、値下げ販売を余儀なくされているというのが都心の不動産の現状だ。
値下げラッシュが始まりつつある状況下、より深刻な問題を抱えているのが、上昇相場が続くことを前提にタワマンを購入した人々だ。
「絶対に値上がりする、庶民が港区にタワマンを買える最後のチャンスだと聞いていたのに、話が違う」
大手企業に勤める40代のB氏はこう憤る。同氏が怒りの矛先を向けるのは、「マンクラ(主にXなどでマンションの購入・売買や不動産市場について熱く語り合う人々の集まり。マンションクラスターの略称)」と呼ばれる人々だ。
B氏は25年、JR品川駅から徒歩圏内という触れ込みのタワーマンション「リビオタワー品川」を購入した。800戸を超える大規模タワーで、再開発が続く品川駅や高輪ゲートウェイ駅にも徒歩でアクセス可能。
1期1次には投資家たちが押し寄せ、平均倍率が12.3倍、最高倍率は139倍という超人気物件となった。













