出会いで考える選ばない消費
選ばない消費の良さや便利さを深く考えていくと、行き着くキーワードの一つが「出会い」です。
出会いとは、そもそも予定通りに訪れるものではなく、想定外の出来事の中に潜んでいるものだと考えられます。「予期せぬ出会い」という言い方をよく耳にしますが、出会いとは本来、予期できないものです。
たとえば、あらかじめ「会ったことのない人が来る」と分かっている食事会で、その人がどれほど魅力的だったとしても、それは用意された接点にすぎません。むしろ、その場に来る予定のなかった人がふとあらわれて、思いがけず幸運や刺激を運んできてくれる、そんな場面を私たちは「出会い」と呼びたくなるのではないでしょうか。
「出会いがない」という決まり文句は、いつの時代も結婚や恋愛をしない理由の上位に挙がりますが(図表10)、この「出会いがない」という言い回しには、「思いがけない出会いのきっかけが少ない」というニュアンスが含まれているように思います。
たとえば「職場に出会いがない」と言うとき、それは単に対象となる同僚が少ないという不満だけではなく、日常の枠を超える偶然が起きにくい状況への物足りなさも含まれているのではないでしょうか。
つまり、人は出会いを良いものとして期待しています。初めて顔を合わせた相手がとんでもなく困った人だった場合、それは出会いとは言わず、むしろトラブルと言うのかもしれません。だからこそ、多くの人は「出会いがない」と口にしながら、それを小さな悩みとして抱えています。
では、どうすれば出会いと呼べるような出来事と巡り合えるのでしょうか。そこで手がかりになるのが「選ばない消費」です。選ばない消費は、予期せぬ出会いを生む余地を広げてくれます。自分で選ぶ場合、あらかじめ選択肢は絞り込まれています。どれだけ良いものを選んだとしても、それは想定の範囲を出ないでしょう。
たとえば、お見合いパーティーでは、参加者は年齢や年収、趣味などの条件で絞り込まれ、条件が整った出会いの場が用意されます。そこで相性の合う相手を見つけられたとしても、それは想定外の出会いとは少し異なります。
一方で、恋愛や結婚のきっかけを意識して選ぶのではなく、デパートやジム、犬の散歩といった日常の延長線上で、偶然人と知り合う。そうした出会いは、より想定外の感覚を伴います。そうすると、やはり出会いとは、予測できない状況の中にあるものだと感じます。
だからこそ、日々の消費行動においても「選ばないこと」を少し意識してみると、思いがけない人やモノとの接点が生まれやすくなるのかもしれません。結果として、人との出会いの確率も、少しずつ高まっていくのではないでしょうか。
「選ばない方がいい」と一概に言いたいわけではありません。しかし、選ぶ行為から少し距離を置くことで、むしろ自然に出会いが訪れる、そんな側面も、選ばない消費の魅力の一つだと思います。













