今こそ番付に「張出」の復活を希望したい!
さて、大相撲の番付の長い歴史に「張出(はりだし)」があったことを知っている人も多いと思います。「張出横綱」「張出大関」「張出関脇」など、3人以上の力士が同じ地位に就くと「張出」と称して、番付の左右の枠外に地位や四股名が記されました。公傷制度(取組中の怪我などが認められ翌場所休場しても番付は据え置く制度)が存在した時には前頭でも「張出○枚目」と扱われたことがありました。
ところが近年になって「張出」が番付から消えました。平成6(1994)年五月場所をもって張出の制度が廃止されたのです。平成に入った頃から、いわゆる「若貴ブーム」もあり、大相撲界への入門者が増えました。これにより、とくに序二段の力士が急増したため、番付を書く行司が極細の文字で四股名を並べても枠に収まり切れなくなりました。そこで枠外の張出のスペースを削除し、番付枠の左右を広げる手段に出ました。これが「張出」廃止の大きな理由です。
100年以上も前の明治から伝わる「張出」という、大相撲にしかない何とも言えない味のある「ランキング」の表現が、30年あまり前にあっけなく消えてしまいました。残念です。それでも北の富士さんは、最後まで「張出」と呼び続けていました。
今場所(令和8年七月場所)の番付を見ると、関脇の地位に4力士が並びます。先場所、関脇で勝ち越した熱海富士と琴勝峰に加え、小結で12勝3敗の優勝を果たした若隆景、さらに大関から陥落した安青錦の4人です。これは令和6年九月場所(阿炎、大の里、霧島、貴景勝)以来のことです。かつての番付ならば、若隆景と安青錦が「張出関脇」です。
「張出」の廃止以降は、関脇と小結がそれぞれ3人以上になるのは、大関からの陥落による関脇3人という場合などに限られていました。最近では平戸海が平成6(2024)年七月場所、新小結で10勝5敗の好成績を収めました。しかし、翌場所も小結に留まり、関脇昇進は成りませんでした。髙安も平成7(2025)年七月場所、小結で10勝を上げながら、翌場所も小結に据え置かれました。
今こそ「張出」制度を復活させてもらえないかと、昔ながらのひとりの大相撲ファンとして願うばかりです。「張出」が廃止となった平成6(1994)年五月場所の番付には、史上最多となる943人の力士の四股名がありました。このところ力士数も600人を割っています。ということは、番付の枠外に「張出」のスペースを確保することもできるはずですから……。
ファンの観戦マナーは課題のひとつ
近年、観客のマナーに苦言が呈される場面が増えました。両力士が立ち合う直前に大声を出すことは、主役である力士たちの集中力を削ぐことにつながります。観客席が固唾を飲んで、シーンと静まり返った中で、立ち合いの激しいぶつかり合いを見たいものです。また、力士の四股名が書かれたタオルを広げての応援も最近の定番となりました。このタオルも、ほかの観客の視界を遮るような高さに掲げることは控えていただきたいと思います。
手にすることが極めて難しくなった大相撲のチケットです。そのチケットを手にした誰にとっても貴重な生観戦の機会ですから、気持ちよく楽しみたいところです。取組内容の充実に加え、観戦マナーの向上も大相撲界の大きな課題です。
そのあたりにも注目しながら、七月場所を楽しみましょう!
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