自民党に戻り始めた異論
高市政権に対する評価についてストレートに尋ねた。
「評価はしばらくしてからでないと判断できないものです。今決めたことが数年先に結果が出る。たとえば20年前の郵政民営化などはその典型でしょう。前はこれで世の中がよくなり、経済が上向くと考えられていました。しかし実際には逆効果だったという歴史の審判が下りました。
民営化された結果、郵便制度が潰れそうになっている。それを立て直そうと、何年もかかってやっと改正法が通ったところです。今高市さんがやっていることの結果がまだ出てないので、評価はなかなか難しい。
けれど、自民党という異質の世界にいる女性がトップに立てたというのは、とてつもない偉業です。総理総裁になれたことは最大の評価をしていい。小池(百合子)さんが都知事になったように、高市さんが総理になった。ガラスの天井を破ったといわれますけれど、私たち女性議員はそこを気にしなくていいですから。
私の当選時、自民党に女性議員がいなかったので、ある意味義務があると思ってストイックな議員生活を送ってきました。最近になり、多くの女性議員が生まれましたが、まだ女性同士で闘って切磋琢磨するようなところにはいっていません。やっぱり後ろにつく男性議員次第のような部分が残っています。そこは今はまだ過渡期だと考えています」
ある意味、これも大人の姿勢なのかもしれない。政権の評価は歴史が下すのもたしかだろう。しかし、混とんとする世界情勢において、日本にそんな余裕があるのだろうか。国民が生活に苦しんでいるなか、現政権が進む方向性について正しいか、あるいは間違っているかを見極めて政策を議論するのは、国会議員の務めだろう。
目下、食料品の消費税減税の成り行きが、高市政策における最大の焦点の一つになっている。高市政権では党税調の会長が石破政権時代までの宮沢洋一から小野寺五典に交代した。小野寺は決して税制のスペシャリストではなく、首相が与しやすいから税調会長に抜擢したとも伝えられる。
一方、インナーである税調幹部として元選挙対策委員長の小渕優子が副会長として残っていた。その小渕が先頃、食料品の消費税減税に対する反対意見を表明し、副会長の辞任を申し出た。かつて税調のインナーだった実父の小渕恵三の教えを受けてきた娘にとっては耐えられなかったのだろう、というのが永田町のもっぱらの評判である。
小渕は党内に残る財政再建派の一人で、社会保障国民会議の実務者会議で唐突に出てきた食料品の消費税率の1%への引き下げに反発した。「責任ある積極財政」という妙な理屈で財源論を放棄した高市政権の危うさは、今さら繰り返すまでもないが、ここへ来て、ようやく高市政策にモノ申す動きが出てきたといえる。
再審制を巡る刑事訴訟法改正に異を唱えた稲田朋美もまた、財政規律派として知られる。通常国会も終盤に入り、いよいよ党内のポスト高市の動きが芽生えているのかもしれない。(敬称略)
取材・文/森功













