官僚たちが注目する「もうひとつの高市問題」

国家のトップリーダーが「悲願」とまで言って国民の信を問うたのだから、国民全員に1%分の給付がなければ「実質ゼロ」なんだから良いでしょう、とは言えないはずだ。

実は今、官僚たちの間で「もうひとつの高市問題」が注目されている。それは予算編成や税財源などで首相サイドと協議する財務省の幹部人事がことごとく停滞していることだ。

通常ならば夏に実施されるものだが、高市首相サイドは「財務省案」にストップをかけ、自らの意向に沿った人事で進めたい考えをにじませているという。

「財務省嫌い」で有名な高市首相だが…
「財務省嫌い」で有名な高市首相だが…

たとえば、2024年夏に財務事務次官に就いた新川浩嗣氏は就任から2年を迎えるが、後任の次官人事は調整がついていない。

財務省としては予算編成を担う主計局長の宇波弘貴氏を次期事務次官としたいといわれるが、これに官邸サイドが難色を示しているとか。代わりに、宇波氏の2年後輩にあたる官房長の坂本基氏を推す声が出ているという。

1991年入省組の坂本氏は秘書課長や社会保障・税一体改革調整室長などを務めた人物で、大臣官房総括審議官を経て2024年7月に官房長となった。

入省同期には、高市首相の最側近である尾崎正直官房副長官らがいる。首相の財務省嫌いは有名で、米国のように政権が新しくなれば官僚たちの人事も激変するのが当たり前という声もあるだろう。

首相の健康状態を不安視する向きも

ただ、こうした幹部人事の調整難航は財務省だけの問題にとどまらない。なぜならば、「最強官庁」といわれる財務省の課長級以上の職員に対しては、それぞれの省庁に「担当」がいるためだ。

A課長と親しい人物、B審議官と旧友の職員などをカウンターパートとして他省庁は配置する傾向がある。つまり、財務省の幹部人事がまとまらなければ、各省庁の人事にも影響が生じることになる。

消費税の減税をめぐる与野党協議や官僚人事の調整難航などで疲労が蓄積しているのだろうか。高市首相は3月、衆院予算委員会の質疑終了後に激しい疲労を訴え、外交日程を急遽キャンセルした。木原稔官房長官は記者会見で「風邪の疑い」と説明したが、首相の健康状態を不安視する向きもある。

首相は難病「関節リウマチ」を患っていると公表し、2月には精密検査を受けた。4月に首相と面会した自民党の甘利明元幹事長の説明によれば、首相は「睡眠をもうちょっと取りたい」と漏らしたという。

宰相が激務によって睡眠時間を削られることは想像に難くない。熱心な勉強家としての評価もある高市氏は、内閣府特命担当大臣や総務相時代から睡眠不足のため、フラフラになりながら国会答弁などの準備を重ねていたとされる。