「早めのうちに手を引く」86歳が下した決断
不動産業で成功を収めた加藤さんだが、切符から始まった収集も続けていた。かつては所有するビルに自身のコレクションを展示し、「歴史発見館」として公開していたこともある。
そして、交通安全祈願をきっかけに、自慢のコレクションは熊野町レトロという形で再び人目に触れることになった。
やがて多くの人が足を止める場所となったが、なぜ今、撤収を決めたのか。
「こんなことやってたら他になんでもできないでしょ。毎日見とかないといけないから、どこか行きたいと思ったって行けねえんだもん。
過去にはお釈迦さんの頭の上に上がって写真撮った学生がいて、『滑って転んで頭打ったら死んじゃうよ』って注意したことがある。
事件でも事故でも起こされたら俺だってやってる意義がないわけだ。早めに手を引いておかないと」
撤収作業は、6月25日を最終日に3日間かけて行われる予定だという。
加藤さんは、約4年間「熊野町レトロ」を運営した中で得た“意義”について語った。
「敷地内には、見に来た人が感想を書けるメモ帳を置いているんだけど、先月だけで約300枚。1枚ずつ糊付けして保管している。
今では合計7冊、2000枚以上になっている。これを読んでいると心が打たれて、やる気が湧いてくる。宝物なんだ」
熊野町レトロに並べられていたコレクションは撤収後、加藤さんが所有する物件に保管されるという。今後、どこかで展示を再開する予定があるのか尋ねると、加藤さんは「やるかやらないか分からない」と答えた。
取材・文/鮫島りん 集英社オンライン編集部ニュース班














