――GI制度の目標、課題などをお教えいただけますか?
鈴木大臣 日本の農林水産物・食品の輸出額は1.7兆円(令和7年)で、目標の5兆円に向けて全力で取り組んでいます。日本食はすでに世界で認知度が高いですが、課題もありますね。
海外の日本食のお店の中には、日本の食材を使っていないお店もあるんです。今後、本物の日本の食材を扱うお店を増やしていくこと、それに併せた輸出の拡大を目指しています。
トルシエ そうした食材のやりとりが盛んになる中で、かつての「姉妹都市」のような交流も生まれ、シナジーが生まれる。食を通じて、再び友好的な関係を築かれるかもしれませんね。ただ、素晴らしい食材を維持するためにも、農家の後継者問題も避けては通れない課題ですね。
コルビ 私は料理人として「食育」にも関心があります。食材本来の味を五感で感じとるための取り組みは、非常に大事です。私自身も2010年から、日本の小学校で「味覚」の授業を行なってきました。
日本全国を回り、気仙沼ではサメ料理、盛岡ではサーモン料理など、子供たちと一緒に地元の食材で作った料理を食べながら、味について教えてきたんです。
味覚の「五味」は、「甘味・塩味・酸味・苦味・うま味」。子どもはこの五味を正確に当てられるんですが、意外と大人は五味に入っていないものを答えてしまうことが多いんです。
鈴木大臣 なんでしょうかね……。もしかすると、「辛味」でしょうか?
コルビ その通りです。大人たちが普段から、外食などの多様な味付けに慣れすぎて、味覚の区別がつきにくくなっていることが原因だと考えています。
辛さは味覚ではなく、痛みから生じる感覚。食材本来のうま味を感じられなくなっていることは、大きな課題だと思います。
鈴木大臣 味覚は本当に大切ですね。日本でも「和食給食応援団」という取り組みがあり、和食の料理人が学校を訪れ、「うま味」や「だし」について子どもたちと一緒に学ぶ活動をしています。
他には、小学生が田植えから収穫までを経験するといった「教育ファーム」など、食材の生産現場を身近に感じてもらう取り組みも広がっています。
コルビ フランスの学校では、1990年代から三つ星シェフが味覚の授業を行なっているんですよ。「うま味(UMAMI)」は今や世界の共通語ですが、昆布から発見されたこの概念がフランスの食育カリキュラムに組み込まれたのは、もう20年以上前のことです。
例えば、コンテチーズの中に見える白い粒。これはカビでも塩でもなく、「チロシン」というアミノ酸が凝縮されたうま味の塊そのものです。48カ月熟成のコンテチーズと通常チーズを比べると、うま味の深さが全然違います。
鈴木大臣 興味深いですね。私も買う時に、注意して見てみます。日本でも引き続き、子供だけでなく多くの方たちが、本物の味覚を学べる取り組みを推進していきます。
















