「もっと上にいけなかったことだけが心残り」猫騙への複雑な思い
ソロ活動をしていた2003年頃からはヘアスタイルをスキンヘッドにしていた時期も。
WANDS時代のロン毛のイメージを持っていたファンたちは、さぞかし衝撃を受けたことだろう。
「髪型を変えることは自分としてはそこまで大ごとではなくて、スキンヘッドにしたときも、周囲からそんなに驚かれるとは思っていなかったんですよ。
理由も、ビリー・コーガンに憧れてたのと、頭にタトゥーを彫ったんで見せたかったからっていうぐらいのもので(笑)。
ただ、ソロシンガーとして新しい自分の音楽を確立していこうっていう気持ちだったから、WANDS時代のイメージからガラッと変えたかったっていう反動もあったんでしょうね」
2007年に上杉がフロントマンとして活動開始したオルタナティブロックバンド『猫騙』は、ド派手なネイティブ・アメリカンをモチーフにした衣装とメイクでのライブパフォーマンスが注目を集めていた。
「ANTHRAX(アンスラックス)がネイティブ・アメリカンモチーフの衣装でステージ上を駆け回っていた時期があって、あれいいじゃんって思ってたんです。めちゃくちゃ派手だしいいなって。
僕の中で、ソロとか新バンドとか、覚悟を持って新しいことを始めるっていうときは、それまでの何かを変えたいときなんですよ。
それでこう言っちゃなんですけど、外見って一番たやすく変えられるじゃないですか。だから節目節目で外見を変えてたんだと思います」
“外見から入る”と言えばそれまでだが、たしかにヘアスタイルやステージ衣装というビジュアルを変えるだけで、イメージはかなり刷新される。
上杉にとっては外見を激変させることが、新しいチャレンジに向けての“意思表明”のような意味があったのかもしれない。
「WANDSをやっていたのは5年ちょっとで、猫騙をやっていたのは10年以上。活動期間は倍以上なんですけど、僕の体感としては良い意味で猫騙時代はすごく短かったんですよね。
僕の中で猫騙というバンドは圧倒的に価値が高くて、存在が大きくて、濃かった。駆け抜けたなっていう印象が強いんです」
猫騙では全国のライブハウスをまわり、さまざまなバンドとの対バンも精力的に行っていた。
「猫騙ではとことん自分のそのときにやりたかった音楽を追求して、歌もパフォーマンスもとても攻撃的にいけていた。
自分にとってオルタナティブっていう音楽はとても居心地のいい場所だったし、猫騙での自分は悔いなくやりきったなっていう感覚が強いんですよね。
しいて言うなら、猫騙でもっと“上”にいく(売れる/有名になる)ことができなかったことには、ちょっと心残りがあるかな。
音楽としては最高の曲と最高のパフォーマンスをしていた自負があるだけに、そこだけが猫騙の活動でやり残したことだったかもしれない」













