問題が起きれば補助金、値上がりすれば補助金

これは裏を返せば、補助金がなければ依然として強い物価上昇圧力が残っていることを政府自ら認めていることでもあるのだ。

確かにその場の痛みを和らげることはできる。しかし問題そのものは何一つ解決していないのである。むしろ円安によって生じた痛みを、更なる借金で先送りしているように見える。

私はこの発想そのものがデフレ脳だと思っている。問題が起きれば補助金。値上がりすれば補助金。負担が増えれば補助金。しかし、それは問題を解決しているのではない。問題を先送りしているだけなのである。

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その昔、第一次オイルショックが発生した時、日本政府は国民に節約を呼びかけた。企業も知恵を絞った。そして、その結果として低燃費車という日本の強みが生まれた。

ホンダシビックは世界を席巻した。危機を補助金で乗り切ったのではない。危機を技術革新と努力で乗り切ったのである。

一方、今の日本はどうか。節約を呼びかけるどころか、補助金で現状維持を続けようとしている。しかし、その先に何があるのか。私はむしろ、こちらのほうが心配なのである。

長野北部では地震が続いている。東北でも地震が続いている。異常気象も激しさを増している。日本は阪神大震災を経験した。東日本大震災も経験した。熊本地震も経験した。能登半島地震も経験した。そして、つい先日も海外で発生した大地震により、日本でも津波注意報が発令されたばかりである。

市場は現実ではなく言葉に反応しているのである

その日本が、いざという時のための備蓄を削りながら、目の前の人気取り政策を続けている。私はどうしても違和感を覚える。

本当に備蓄を使うべき時とは、ガソリン価格が数円上がった時ではない。国民の命を繋ぐ時であり、国家の安全保障が問われる時であり、大災害によって物流が止まる時なのである。

さらに私は最近のイラン情勢に対する市場の反応にも強い違和感を覚えている。トランプ大統領や米国政府が停戦に向けた発言をするたびに株価は上昇し、原油価格は下落する。

しかし現実はそれほど単純ではない。保険料も物流コストも高止まりしている。供給網の不安も消えていない。つまり市場は現実ではなく言葉に反応しているのである。私はこの光景を見るたびにオオカミ少年を思い出す。