攻撃オプションをどう増やせるか

堂安律は試合後、監督・コーチ陣への感謝を口にした。「すべての状況を想定して準備してくれているので。感謝しています」

久保もこう語った。「3月に試合ができているからこそ、今回の試合だったので。反省して、改良して……と毎試合やってきていると思うので。非常にポジティブだと思いますね!」

今回の件でいえば、先に挙げたような信念を監督が持っているとはいえ、そこから選手たちの意見に歩み寄った。そして、そこに選手たちは心地よさと感謝を感じた。

信念をつらぬくことと、歩み寄ること。組織において、このバランスを取るのは難しい。

トップ=監督が信念をつらぬこうとして、部下=選手たちが困惑したり、大きな溝が生まれたりすることもある。その一方で、トップがあらゆる部分で歩み寄ることで無難なものになってしまうこともある。

「多目的は無目的」という表現もあるが、それは様々なニーズに応えすぎた結果、凡庸なものになってしまうこともある。

だからこそ、監督は信念を貫くより、歩み寄りを選んだ。そして、そこにポジティブなムードは生まれた。ただ、事前に準備をしておけば、W杯で対戦する相手からは研究されやすい。だから、オプションはさらに増やしておきたい。

6月2日夜、日本代表は北中米W杯の舞台の一つであるメキシコへ向かって飛び立つ。W杯初戦のオランダとの試合は日本時間の15日早朝に行なわれる。そこまでのおよそ2週間の期間で、今回のような攻撃のオプションをどれだけ用意できるのか。そこに日本代表躍進のカギはある。

6月21日、チュニジア戦の会場となるエスタディオBBVA(メキシコ) 写真/Shutterstock
6月21日、チュニジア戦の会場となるエスタディオBBVA(メキシコ) 写真/Shutterstock

取材・文/ミムラユウスケ