タトゥーとアートメイクは違うのか?
私は、2014年に京都で大規模な一斉摘発が行われたアートメイクのことを考えた。皮膚の浅い部分にインクを注入して眉やアイラインなどを描く施術で、メイクの手間が省けると女性に人気がある。
アートメイク事業者から相談を受けたことがあったので、2001年に厚生労働省が「針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為」は医師免許がないと行うことができない「医行為」であるとの通達を出し、その後全国で無免許のアートメイク事業者が摘発されていることを知っていた。
でも、タトゥーの彫師が医師法違反で摘発されたなどという話は聞いたことがない。なぜ今回はタトゥーなのか? タトゥーとアートメイクは同じなのか? 違うとしたらどこだろう。彫師たちの話を聞きながら頭の中でぐるぐる考えていた。
難しい裁判になりそうだ。勝ち目があるかどうか、まったくわからない。でもこの先、摘発され罰金を支払う彫師が増えたら、タトゥーの施術をするには医師免許が必要だということが既成事実になってしまう。
彫師が医師免許をとることなどまったく現実的でない。
彼らは無免許のまま隠れて施術し、見つかれば刑罰を受けることになる。最初は罰金だが、次は執行猶予付きの懲役刑、次は実刑と、刑罰はどんどん重くなるだろう。
医師がタトゥーの施術を行うとも思えないから、この国で合法的にタトゥーの施術を受けることができなくなる。彫師に医師免許を要求するということは、そういうことだ。
ふと、警察は彫師という職業をなくそうとしているのではないか、と思った。タトゥーは日本の社会で嫌われている。タトゥーを入れているだけで反社会的勢力のレッテルを貼られかねないし、温泉やプールでは「お断り」だ。
タトゥーなど日本の社会に存在しないほうがいいし、彫師がいなくなったとしても困る人などほとんどいない――。そんな発想が摘発の背景にあるのではないか。
嫌われ者を排除したって、彼らは少数者で、おかしいと声をあげても誰の耳にも届かない、彼らを応援する人もほとんどいないと侮っているのではないか。
怒りが沸々と込み上げてきた。













