叱られた時に脳の中で起こっていること

今回は、「叱る」について考えてみましょう。人間関係のなかでも悩みのもとであり、人間関係を壊すきっかけにもなりかねないのが相手を「叱る」行為です。感情的に叱るだけでは相手のやる気を下げることになるし、かといってはっきり伝えなければ問題は改善されません。

「叱る」には褒め方とは違う難しさがあります。たとえば、部下を叱らなければいけないときなどは、どうしても、相手の間違いを指摘するかたちになるので、相手を萎縮させるなどの〝副作用〞が起こることがあります。

では、まず「叱る」というシーンを具体的に想像してみましょう。ビジネスパーソンの方だと、「部下を叱る」ようなシーンを想定される方が多いと思いますが、ここでは脳の仕組みを理解するために、道に飛び出そうとする子どもに向かって母親が大声で「だめ!」と叫ぶシーンを例に解説しましょう。こんなとき、子どもはびくっとして止まります。このとき、脳の「扁桃体」が強く反応しています。

怖い顔で母親に叫ばれた子どもにはストレス反応が起こります。ストレス反応は、人間の体が危機を乗り越えようとする際に、瞬時に体勢を整えるために備わっている仕組みです。

たとえば、山で熊に遭遇したとき、人の脳では扁桃体が活性化します。

画像はイメージです(写真/Shutterstock)
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扁桃体は「恐怖反応の中核」とも言われています。心理学ではこのような状態のことを「闘争・逃走反応(fight-or-flight response)」とか、「闘うか逃げるか反応」と呼び、このとき「3つのF」の反応が起こるとされています。

Fight=闘う
Flight(フライト)=逃げる
Freeze(フリーズ)=固まる、すくむ

闘うか逃げるか、身をすくませるか。とっさに、体は身構えるわけです。とはいえ、獣に遭遇することはそうそうない現代の人間社会においては、扁桃体が活性化すると多くは「Freeze」=固まる系になります。

扁桃体が活性化したときには体にもストレス反応が起こります。自律神経を調節する視床下部に働きかけて交感神経が活性化し、血圧が高くなり、心拍数も上がります。叱られると、カッとして言い返そうとしたり、目をそらしてその場から逃げたくなったり、身がすくんでしまったり。これらは扁桃体の活性化によるもので、生き物として備わった仕組みなのです。