スマホのせいで脳の機能が衰える?

わからないことがあってもググればいいや、とスマホに頼り、思い出したり記憶したりする努力をしなくなると、入った知識も右から左に抜けていってしまうのではないか、と心配になる人は多いようです。

このような習慣が根付くと記憶力や脳機能は衰えていくのでは…という危機感も感じます。脳科学の視点から、検索機能に頼りすぎるのは良くないことなのかを考えてみましょう。

画像はイメージです(写真/Shutterstock)
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たしかに、「あれ」「それ」が出ないことはあります。こういうときの脳活動を調べると、「何もしていないとき」よりも「思い出そうとしている瞬間」は、脳活動が高くなります。しかし、いつまでもその活動は続きません。外形的にはずっと悩んでいるように見えるし自分もそんな気になっていますが、脳内で検索する手がかりがないときや、考えるヒントがなければ活動は落ちていきます。

たとえば、クイズを出したとしましょう。考えつくした後、何も出てこない状態になると、脳の活動はきれいに下がります。その脳活動が下がった後の時間は無駄な時間になるわけです。だから、「あれ」「それ」って何だっけ?と瞬間的に考えることはとても大事ですが、「検索に頼らず、ずっと自力で考えなきゃいけない」と強迫的に考えるのはまったくお勧めできません。むしろクイズなどでは、とっとと答えを見て「おおっ、これか」と思ったときのほうが脳活動は高まるのです。

なんとなくすぐに答えを見ようとするのはズル、という感覚があるでしょう。でも、答えを見て「ほう」と思う方がいいのです。

ある問いがあり、誰かの話を聞きながら理屈を理解しようとしたり別の角度から質問したりして、ロジックを組み立てて文章を作る、そういったプロセスで思考はどんどん深まっていきます。「あれが思い出せない」といつまでも立ち止まっているよりも答えを知り、そこから「ほう」「こういうことか」と思考を進めているほうが、単位時間あたりのひらめき回数は増えます。

脳は固定的なものではなく一種の情報処理器官、何かが足りていないと思えばその情報にアクセスすればいいのです。スマホで検索する、というようにデジタルの世界に頼ることは「ラクをする」以上に、脳の拡張作業を後押しする行為でもあるのです。