「政策の議論の場に当事者である人がなかなかいません」
室橋氏は、「本来的には給付型奨学金を増やしていくことが望ましい」としたうえで、制度の周知にも課題があると指摘する。
「固定の利率が上がっていますので、今後借りる人たちに対する啓発はおそらく足りていないと思います。金利が上がると返済総額が変わってきてしまうので、そこはもっと学生に伝えていかなければいけないと思います」
さらに、政治における議論の重要性を訴える。
「たとえば公明党は、奨学金を返す金額を所得税から引けるようにする『奨学金減税』という政策を提案していますが、他党で同様の提案をしている政党はまだ少なく、国会の場で議論もされていません。
そもそも、政策の議論の場に当事者である人がなかなかいません。
学生はもちろん、20代や30代もほとんどいない。中心は50~60代くらいの議員です。
そのほとんどは奨学金を借りた経験がないと思いますし、20年ほど前までは親が学費を払う家庭が多かったので、『親の負担が多少上がるぐらいなら』という感覚が政策関係者にはあるのかもしれません。
返済の負担の重さや危機感は伝わっていないのではないでしょうか。
さまざまな立場の人たちがいれば、その人たちの抱えている課題が議会で取り上げられやすくなります。
ただ現状では若い世代を代表するような人は本当に数える程度しかいないので、議会で取り上げにくいという構造的な問題があります」
最後に、若者世代の厳しい現状についてこう訴えた。
「今、生活保護世帯の申請・開始が増える局面もあるなか、若年層の困窮にも注目が集まっています。
今の若い世代は、物質的に見ればいろいろな物が溢れているので、一見裕福に見えるかもしれません。
しかし実態は余裕がない。そこにもっと目を向けてほしいという思いは根底にあります」
少子化が進行するなか、教育費や奨学金返済の負担を強いられる若い世代への支援をどう進めるのか。国としての議論が求められている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班












