自殺の背景にあるもの

子どもに寝込みを襲われた両親もいるし、あるいは、いじめるガキ大将を殺しに行った子どももいる。さらには誰にも反抗できないで首を吊って死を選ぶ子どももいる。

子どもが学校に行きたくない理由は、そもそも仲間から一人だけ疎外された、その侘しさ、孤独感からはじまっているのだ。

だから年寄りにしても一人暮らしだけが孤独なのではない。信頼する身内から一人だけ除け者にされた状況が侘しく孤独なのだ。

その辺りをきちんと身内のものが理解してあげれば、老人の自殺は防げる。自殺、自殺と言うが、私が検死した老人の自殺の八割から九割は他殺に等しいような感じを受けた。

溺れる原因もそうだし、餅などの誤嚥もそうだが、老人の体と心というものをきちんと理解してあげるということが今我々に必要だ。

現在、国民全体が豊かな生活を送れているのは、今の老人が若いときに汗水を流して働いてきた結果だ。それがあって豊かな生活ができていることを忘れてはいけない。後輩たちは先輩の苦労を認めて尊敬する。そういう考え方を持ち合わせないといけないと私は思っている。

高齢者に対し尊敬の念を忘れてはいけない(写真はイメージ/shutterstock)
高齢者に対し尊敬の念を忘れてはいけない(写真はイメージ/shutterstock)
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死体が伝える最後の想い
上野 正彦
死体が伝える最後の想い
2026/4/7
880円(税込)
248ページ
ISBN: 978-4022621276

布団の中で凍死してしまった老人の孤独、消せない指紋、殺された幼い子どもが最後に見た光景、サスペンスドラマのような結末、自分を盾にした母の愛――。

監察医として30年間、約2万体の死体を検死してきた著者が語る命の尊厳、生と死のドラマ。

『裏切られた死体』と『死体は切なく語る』から屈指のエピソードを選り抜いたベスト版。

【目次】
第1章 死体が残したメッセージ
第2章 切ない事件
第3章 人はここまで醜くもなる
第4章 フィクションとノンフィクション
第5章 やるせない真相
第6章 愛情の末に

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