なぜ浴槽で溺死してしまうのか
たとえば、こういうケースもよくあることだ。
お年寄りがお風呂に入っていて浴槽の中に沈んで溺死する。
溺れて死んだと処理される。酔っぱらったり、お風呂の中で居眠りして、あるいはツルッとすべって、浴槽の中で溺れて沈んでしまって死ぬ。
しかし、実は居眠りなどで溺れて死ぬという状況はめったにないのだ。普通の状況で湯船の中に沈んでしまえば、気管に水が入ってきて苦しくなり、たとえうつらうつらと眠っていたとしても苦しさで目覚めることになる。
また、一瞬フラフラとめまいがして倒れて溺れたとしても、気管に水が入って息苦しくなるわけだから、強い刺激を受け、体もはっと目が覚め、とっさに防御姿勢を取れるはずだ。
それができないで溺れて死んでしまうとは、いったいいかなる状態なのか。
たいていの場合、入浴中に死にいたるような病的発作を起こしていると考えていい。たとえば心筋梗塞とか、あるいは脳出血の発作とか。そういう発作があって意識を失って溺れてしまう。それで助けを求められないから、死んでしまうのだ。
「長い風呂だなあ」と家族が気づいて不安になってお風呂場へ行き、湯船の中に沈んで死んでいるおじいちゃんやおばあちゃんを発見する。
事故死になるか。病死になるか。保険会社が支払う保険金の問題にもかかわってくる。保険金の支払いが違ったりするから、必ず論争になるが、だいたいは事故死ではなくて病死だ。













