ビートたけしさんと内田裕也さん

大久保 スタイリストを長くやっていると、コクのある面白い人に巡り合う瞬間ってあるよね。伊賀くん、ビートたけしさんもやったでしょ。

伊賀 一度だけ、単行本のカバーの撮影を担当させてもらいました。

大久保 たけしさん、怖くなかった? 俺も一度だけ担当させてもらったんだけど、いろいろやらかして、それっきり。もう、お声かかんない。

伊賀 オーラというか、人間力がとてつもなかったです。上手くスタイリングできたのかどうかは、ちょっと自分ではわかんないです。


大久保さんの事務所にはレコードと本、そして洋服がぎっちり

大久保さんの事務所にはレコードと本、そして洋服がぎっちり

大久保 挨拶以外は、一言も喋ってもらえなかったよ。

伊賀 物静かな方ですよね。僕も「うん、うん」ぐらいでした。「今日は、こういう服でやらせていただきます」って挨拶したら、「うん、うん」って。

大久保 えっ、目見てくれた?

伊賀 いや、目は合ってないです。

大久保 そっか。ハイパー好青年の伊賀くんでもそうか。じゃあ、自分的に「これは俺、勝負したわ」みたいなフィッティングは。

伊賀 印象に残ってるのは、内田裕也さんですね。

大久保 おお、裕也さん。絶対、面白い予感。

伊賀 秋元康さんの仕掛けで、内田さんと指原莉乃さんが一緒に曲を出す、みたいな企画があって(『シェキナベイベー』)。そのとき、衣装を担当しました。ライダースを用意したんですけど、取り出したらいきなりカマされて。「おのれ! アメリカ国旗って、どういう意味かわかっとるんか!」みたいな。

大久保 内田さん、関西弁なんだ。

伊賀 あっ、そっちですか(笑)。

大久保 そうだった(爆笑)。ライダースに星条旗の刺繍が入ってたの?

伊賀 背中に、ラインストーンでバーンと入っていて。これでしょ、と思って用意したんですけど、あの、例のステッキをこっちに向けて「おのれ、わかっとるんか!」。

大久保 サービス精神あるなぁ。

伊賀 これ、来たな、と。ここで引いたらTKO負けになっちゃうんで、もう足を止めて打ち返さないといけないと思って、わりとデカめの声で「わかってます!」。そしたら、スーっとステッキが地面に下がって(笑)。

大久保 名勝負数え唄じゃん。

伊賀 いやいや、大久保さん。長州(力)さんにも激ギレされてるじゃないですか(『The Stylist』138頁~)。