情報収集も仕事も英語力も、結局「好奇心」が差を生む

――大野さんは旧来的な対面コミュニケーションの重要性を説くのと同時に、取材時には新しい撮影機材や録画機材もたくさん使っていると本でも書いていました。AIを使った資料作成など、最新のテクノロジーも利用して取材方法もどんどん変えてきていますね。

「私は時代に合わせて、使えるものは使います。だって、いまは安くて、あるいは無料に近くて、『ここまで使えるの? コスパ良すぎるじゃないか!』みたいなものがたくさんありますから。たとえば、急きょ取材日程が決まり、どうしても相手の本を読む時間がないときなどに、ChatGPTにタイトルを入れて、いろんな質問すると、一瞬で使える情報がまとまって出てきますからね。それを頭に入れたら、しっかりインタビューもできます。

もちろんAIに丸投げなんてしないですけど、アシスタントとしてのAIはものすごい力があります。アシスタントを雇う必要がなくなります。我々世代の方法も、現在の方法も、絶対に両方あったほうがいいと思っています。だからなんでもまず使ってみますね。その源泉はなにかといえば、好奇心です」

――やはり好奇心!

「はい。好奇心がなければ英語でもなんでも、何も前に進まないじゃないですか。無理ですよね。
僕はよく『え? 大野さん、71歳なんですか!?』と聞かれます。まわりから見ても元気なんですかね(笑)。僕の同級生なんて、みな定年すぎて月に1回、ゴルフ行ってるだけ。 たまに会って『 何やってるの?』と聞いても『やることない』って。僕にしたら『えー!?』ですよ。だって記事の取材や、単行本や月刊誌、週刊誌など、いろんなもの含めたら、平均すると毎日必ず3つ4つの締め切りがあるんですよ。毎日やることがあるわけですから」

――そこに疲れを感じたり、もういいかなとかにならないんですか。71歳になった今も。

「まったくないです。なぜかといえば面白いから。イラン情勢なんかは日々、変わるわけですよね。国際政治や国際問題をテーマとしている僕からすると、ものすごい変化が激しいから、それはやはり面白いですよ。 仕事でのプレッシャーもありますしね。

たとえば、あるメディアから取材依頼が来ます。依頼を受けたら締め切りまでに、その取材のインタビューデータを出さなきゃいけない。 取材相手に連絡します。相手に『いやもう今、イギリスに行ってるし考える時間もない。取材は無理だ』とかって断られます。 そうしたら『1分だけでいいから、これだけ答えて!』とか言って粘り、最終的になんとかコメントをもらう。そんなヒリヒリするプレッシャーの中での仕事も含めて、いろんなことがあって興味や好奇心が尽きないんですよ」

「小3くらいのときに父から 『英語だけはやっておけ。英語をやっていたら世界中どこでも生きていける』と言われていた」
「小3くらいのときに父から 『英語だけはやっておけ。英語をやっていたら世界中どこでも生きていける』と言われていた」

ーー前編でも、英語の短波ラジオ放送を聴いて英文に起こすという、誰に教わったわけでもない独自の英語上達法ついての話もありましたよね。それも好奇心からですよね。ご自身の好奇心の源泉についてはどう思いますか?

「わからないけど、遺伝なのかなぁ。 子どもの時からね、とにかく人に合わせるというか、集団に合わせるのが嫌だったし、好奇心の向かう方に行動していたんですよ。高校の遠足で奈良公園に鹿を見にいくときがありました。僕は奈良に行くことはいいんだけど、鹿を観に行くのは嫌だから、ひとりで奈良女子大学の文化祭に遊びに行ったんですよ。友だちに、もし先生に聞かれたら『大野は奈良女子大の文化祭に行って何時の集合時間には帰ってくる』と伝えて、と言って(笑)。

あと今思えば、英語に関しては父の教えもあったのかもしれないです。父は、戦争で海外に行っているんですけど、その時に英語のLとRの発音とかやらされたと。 そんな父が僕が小3くらいのときに言ったんです。『英語だけはやっておけ。英語をやっていたら世界中どこでも生きていける』と。すごい先見の明ですよね。 たぶん父は戦争でアメリカの強さを身をもって知っていたので、今後はアメリカ英語が世界共通語になるとわかっていたんでしょうね」

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ポール・クルーグマン、カタリン・カリコ、カズオ・イシグロ、ダロン・アセモグルなどノーベル賞受賞者の取材は約20名。その他、イアン・ブレマー、マーカス・デュ・ソートイ、ジム・ロジャーズ、ユヴァル・ノア・ハラリら、「世界の超一流知識人・ビジネスパーソン」を、40年以上“英語”で取材し続け、彼らから絶大なる信頼を得る国際ジャーナリストである著者が、そのキャリアで培った「相手の心をつかんで離さない」(=「懐に入る」)英語の上達術を大公開! 「知の巨人」たちが会話やメールでよく使う英単語やフレーズ例なども多数紹介、楽しく読みながら使える最新の英語が学べる一冊。

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取材・構成/「よみタイ」編集部 撮影/藤澤由加
※「よみタイ」2026年5月3日配信記事