高層ビルのオフィス部分はどこもほぼ満床
渋谷駅を取り囲むように次々と建てられた高層ビルのオフィス部分はどこもほぼ満床で、入居待ちの企業が列をなしている。
1坪あたりの賃料はどこも5万円を超えており、日本橋や六本木を抑え、丸の内に次ぐレベルとなっているのだ。
グーグルの日本法人が港区の六本木ヒルズからストリームに移転したのは2019年。渋谷にはサイバーエージェント、GMOインターネットグループ、MIXI、DeNAといった日本を代表するIT企業が集積し、関連企業や取引先も次々と移ってきた。
こうした企業で働く人々はあまりスーツを着ないため目立たないが、渋谷はすでに若者の街ではなく、丸の内や日本橋のようなオフィス街となっていたのだ。
東急によると、2012年の時点で約44万人だった渋谷駅周辺の就業人口は10年間で33%増の58万人となり、さらに増加が続いている。
平日の日中、丸の内の商業施設がそうであるように、オフィス街に併設された商業施設は、それ目当てで訪れる人で混むようにはできていない。あくまで主役はオフィスだ。
商業フロアがガラガラに見えても、事業に与える影響は軽微だ。その証拠に、渋谷駅の再開発を手掛ける東急と東急不動産の2社とも、渋谷再開発によって業績は絶好調だ。
再開発がひと段落すれば力は吸引力は増す
今後も渋谷駅周辺では大型再開発が待ち構えている。人手不足などを理由に当初の計画から大幅に遅れたものの、渋谷スクランブルスクエアの中央棟・西棟の工事は始まっており、2034年度には首都圏最大級の商業施設が誕生することとなる。
「今は駅前と商業がリンクしていないので集客力も弱いかもしれないが、再開発が一段落すれば商業でも吸引力が増すだろう」(A氏)
東急グループだけではない。渋谷駅東口では東京建物と都市再生機構などが手掛ける大型再開発も進んでいるほか、道玄坂では三菱地所が、宮益坂ではヒューリックなどが参画する開発計画もある。
渋谷駅を取り囲むように次々と大型の高層ビルが立ち並び、オフィスや高級ホテルで賑わうようになるだろう。
こうした再開発を味気なくつまらないと思う人はいるだろうし、それも自然な感覚だろう。渋谷の再開発は昔から住んでいた貧しい人が排除される「ジェントリフィケーション」という文脈で批判されることもある。
しかし、街は生き物であり、手を加えなければ壊死していく。都市間競争に勝つためには、ノスタルジーに浸っている暇はないというのもまた事実だ。












