教科書と原作を比較することの重要性
「迅速な編集ゆえの整合性の欠如や、南吉本来の瑞々しい哲学――哀しみが愛に変わるという変容――が、『償い』という枠に矮小化されてしまう懸念があります。教科書で『赤い鳥』版を学びつつ、原作と比較することで初めて、南吉が本当に伝えたかった世界が浮上すると考えます」
教科書で読んだ『ごんぎつね』は、多くの人にとって“悲しい物語”として記憶されている。だがオリジナル版『権狐』に触れると、そこには悲劇とは言い切れない、ごんのまっすぐな感情の流れが見えてくる。
それでも、大人になった“元児童たち”が、いまなおSNSで『ごんぎつね』を語り合い、盛り上がれること自体、この物語が長く人の心に残り続けてきた証なのだろう。教科書版も、オリジナル版も、それぞれのかたちで読み継がれるだけの力を持った名作であることは間違いない。
取材・文/集英社オンライン編集部













