生き延びる強さを身につける
──インターナショナルスクールなど、日本とは違う方針の学校についてはどう思われますか?
私自身、イギリスの小学校から大阪の公立小、神戸のインターナショナルスクール、ニューヨーク大学と、何度も違う環境に放り込まれてきました。
そのたびに自分をアジャストするのは大変でしたけど、大人になる前に違う文化や世界を体験したことで、生き延びる強さが身についたと実感しています。
多様な価値観に触れておくと、その後の選択肢がすごく広がるんですよ。なので公立校をベースにしながら夏休みや週末に違うスクールへ行かせるとか、まったく知らない世界を経験させてみるといいと思います。
──ドキュメンタリー制作を通じて日本の教育現場を深く見てきたかと思います。今後の作品づくりについて聞かせてください。
私はフィクションの世界を描くより、自分の視点を通して実際にある世界をストーリーテラーとして伝えることに興味があります。今後も「当たり前すぎて誰も目を向けなかったこと」に焦点を当てていきたい。
特に、生まれ育った日本を一度は出て、帰ってきた自分だからこそ見えること、気づけることを映像で表現していきたいです。
高校野球をテーマにした『甲子園:フィールド・オブ・ドリームズ』、そして『小学校〜それは小さな社会〜』では、日本の教育現場を見てきたので、次はそこで育った大人たち、日本の企業や組織力がどうなっているのか撮ってみたいですね。
小学校で培った“社会性”が、大人になってから実際の組織でどう生きているのか。その答えを探したいです。日本の教育の物語は、まだ続いていますね。
取材・文/若松正子 写真/わけとく
〈プロフィール〉
山崎エマ(やまざき・えま)
1989年、兵庫県生まれ。イギリス人の父と日本人の母を持ち、東京を拠点とするドキュメンタリー監督。19歳で渡米し、ニューヨーク大学・映画制作学部を卒業後、エディターとして活動。3本目の長編監督作品『小学校〜それは小さな社会〜』から生まれた短編版『Instruments of a Beating Heart』が第97回アカデミー賞のドキュメンタリー映画賞にノミネートされる。他の長編作品に『モンキー・ビジネス:おさるのジョージ著者の大冒険』や高校野球の世界を社会の縮図として捉えた『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』がある。













