「俺たちが信じたものは間違ってなかった」
27年の時を経て、最初に奏でた曲は『TIME ZONE』だった。
イントロが始まる。その瞬間だった。昭次は「一瞬で時間が巻き戻った」と感じた。
「正直、やれることはやってこの日を迎えたものの、まともに演奏できないんだろうなってどこかで思ってた。最後まで完走できなくて、何回もやり直したりするんだろうなって。
でも、そんなことはなくて。ひとりだったら多分できなかった。4人が集まったからできた。もちろん、魔法じゃないから、あの頃みたいにブワーッて弾けたわけじゃない。だけど、何だろう。みんなの思いが、4人の思いが、この4人だからこそ、この4人だからこうなんだっていう感覚が蘇った。
変わってないんだ。やっぱり、俺たちって。この日のセッションは完璧なんかじゃなかった。でも間違いなく俺たちの音だった」
曲を重ねるごとに眠っていた記憶が呼び起こされていく。
「健一の音、昔からいちばんデカかったな。やっぱり今もデカいんだ。なんなら今のほうがデカいじゃん。和也がベースアンプをセッティングする仕草も、目があった時の耕陽の表情も、昔見た光景だった。これが岡本健一だ。高橋和也だ。前田耕陽だ。これが男闘呼組だって。
いつかきっと、この日のことを思い出すんだろうなって、演奏中ですら思って。この瞬間に、あまりにいろんなことが詰め込まれすぎてたから。なんてすごい日なんだろうって。本当に夢みたいでした。なんか本当に」
初めて和也とセッションした日のこと、『ロックよ、静かに流れよ』のミッドナイト・エンジェルの演奏シーンの撮影のこと、さまざまな思い出が走馬灯のように昭次の脳裏を駆け巡った。
開始から5時間、セッションは終わった。
和也の表情は満足げだった。
「男闘呼組は、やっぱり最高のバンドだった、俺たちが信じたものは間違ってなかった。
たださ、この日に関しては、やっぱり昭次のことだよね。
耕陽と健一は名古屋で一度会ってたけど、俺は本当に10年以上ぶりで。会えたことのうれしさとさ、こうなんて言ったらいいんだろうな。ああ、なんか、会った後、会いに来たことが間違いだったって思ったらさ、悲しいじゃん。で、そうはならなかったからさ。あいつはあいつのままだった」
構成/水野光博 写真/井村邦章













