6階建てのファミリー向けのマンションを建設する話も

現場周辺は近年、タワーマンションの建設が相次ぎ、地価が劇的に上昇しているエリアである。地元の事情に精通する近隣住民は、近年の変化と事件に至る経緯を次のように語る。

「ここは目黒駅へのアクセスも良く、新横浜方面も直通。古くからの住民同士、町会の絆も強くて、本当に穏やかで住みやすい街だったんです。それが武蔵小山の再開発で、一気に『億』の街に変わってしまった。

今や60平米で1億円超え、3LDKなら1億5000万円も珍しくない。(土地の)坪単価はこの10年で2倍の400万から500万円に高騰し、特に駅に近い今回の現場周辺は、つい最近も坪単価660万円で取引があったと聞いて驚きました。地元の不動産業者も『あの区画は誰もが喉から手が出るほど欲しがる一等地』と断言しています」

区画の一部は駐車場になっている(撮影/集英社オンライン)
区画の一部は駐車場になっている(撮影/集英社オンライン)

地元の事情に詳しい別の近隣住民は、今回の事件に至るまでの経緯を次のように明かす。

「地上げ屋が動いたのは、まさにあの区画だけでした。事の発端は2年半前、築60年以上の古いマンションが売却されたことから始まりました。そのマンションの裏手には5、6軒の一戸建てと古いアパートが建っていましたが、ポストのボヤ騒動があったあのお宅を除いて、周辺はすでに住人が退去している。

地元の業者の間でも『交渉してもどいてくれないから、嫌がらせ的に火をつけたのではないか』と噂になっていました。嫌がらせを受けていた男性は、長く地元に住んでいる寡黙なかたで、あまり地域との交流はないですね。事件後、ほとんど見てない。よほど怖かったんでしょうね」

かつてのバブル期のような「乱暴な立ち退き工作」をしていた内藤容疑者。勤務先である不動産会社のA社が管理する当該区画では、すでに古いマンションを解体して駐車場にするなど開発の準備が進んでいた。

前出の住民によると、計画では当該区画には6階建てのファミリー向けのマンションを建設する話が進んでいたという。

警視庁捜査1課は、防犯カメラ映像の解析から内藤容疑者自身も現場を訪れていたことを特定。実行役らには約100万円の報酬が支払われていたことも判明しており、今後は内藤容疑者の独断か、あるいは組織的な関与がなかったかについても慎重に解明を進める方針だ。

実行犯には100万円支払われたという(画像/千布魁容疑者SNSより)
実行犯には100万円支払われたという(画像/千布魁容疑者SNSより)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班