「パンチはオランママと一緒に寝ています」

パンチくんがサル山で一緒に過ごしているオランウータンのぬいぐるみは「オランママ」や「オラン母」の愛称で呼ばれている。ニホンザル担当の飼育員の宮腰峻平さんが語る。

ニホンザル担当飼育員の宮腰峻平さん(撮影/集英社オンライン)
ニホンザル担当飼育員の宮腰峻平さん(撮影/集英社オンライン)

「生まれたばかりのニホンザルは本来母ザルにしがみつくことで安心感を得たり、筋力をつけたりするので、そのために筒状のタオルやぬいぐるみを渡しました。

まだ小さかったですし、オランウータンのぬいぐるみの形を認識してすごく気に入ったというわけではなく、渡したものの中で毛が長くつかみやすかったのだと思います」

園内に飾られていたオランママをパンチくんに与えたのは生後3日ほど経ったころだったという。当初は形を認識できていなかったとのことだが、今はどうなのだろうか。宮腰さんが続ける。

生後間もないころのパンチ君とぬいぐるみ(写真/市川市動植物園提供)
生後間もないころのパンチ君とぬいぐるみ(写真/市川市動植物園提供)

「サルの中でも『この子は近づいても大丈夫』『この子は自分に対して怒ってくる』というのを見分けていますし、今は形も見分けて認識していると思います。ぬいぐるみはパンチにとって心のよりどころのようになっていると思います。

だからこそ、不安なことがあると必ずぬいぐるみのところに行って気持ちを落ち着かせてまた群れに向かっていきます。それに寝るときは一緒に寝ています。やっぱり寝ている時というのは無防備な状態ですから」

パンチくんの実の母親はその後どうしているのだろうか。

「パンチの母親も今は群れに戻り同じサル山にいます。本来は子どもを抱っこしたり授乳したりすることによって母親の意識を持つのだと思いますが、人工哺育によって離れていた期間が長かったため、自分の子どもという認識はなくなってしまったようです。そのため同じ群れにはいるのですがあまり関わろうとはしないんです」

市川市動植物園のサル山(撮影/集英社オンライン)
市川市動植物園のサル山(撮影/集英社オンライン)