真剣な表情で本音を語るゆりやん
日本にいたころのゆりやんをひと言で表すなら、「ふざけ倒し」だろう。有名なのは、吉本興業のいわゆる「闇営業」問題のときの対応だ。記者からの質問に対して、泣きそうな表情を浮かべながら目頭を押さえてうつむいたゆりやんは、次の瞬間、カメラにいつもの変顔を向けていた。
しかし、今回の『アナザースカイ』では、そうした「ふざけ倒し」はほとんど見られなかった。
たとえば、スタンダップコメディに挑戦する場面では、「難しいです。やれどもやれども、自分の声が届いてない感じがする」「ちゃんと自分も心からおもしろいって思ってることを、ちゃんと表現できるようにしたいです」と、英語や文化の壁に悪戦苦闘する様子を正面から語っていた。
アメリカに来て、ゆりやんは自分の内面を見つめるようになったという。演技レッスンがひとつのきっかけだったようだ。講師と対話をしながら役の理解を深めていくなかで、それが「自分を知る感じ。ホントの自分を出していく練習」になった。
有名な「HOLLY WOOD」の看板を望む高台でのシーンが象徴的だ。ゆりやんは言う。
「いまこの瞬間は、焦ってはないですね」
その直後、少し時間をおいて考え直し、「なんか、焦ってはないって言って、強がってるのかもしれない、本当は」と言葉を重ねる。そして、感極まったような表情になった。
VTRを見るワイプの今田耕司が「出た、伝家の宝刀」とコメントする。例の「闇営業」問題の対応を思わせる空気が一瞬流れる。が、彼女の表情は変顔ではなかった。頬を涙が伝う。「ちょっとこれ、心配されますよね(笑)」と笑いながら、ゆりやんは続ける。
「焦ってるのに、焦ってないって言ってた」「がんばってるって人に言えない。でも、ホントはがんばってる、だったんだ、って。でも、何にもつながってないんだ、っていう」
アメリカに拠点を移す。それは、外から見れば自分を「拡張」する選択に映る。だが同時に、個人の文脈が剥がされていく過程でもある。そんな環境のなかで、ゆりやんは自分の内側と対話する。そうして自分の内側に「縮小」し、アメリカに打ち立てる自分の旗をつくろうとする。
それは声を大きくすることではなく、何度も自分の声を聞き直す営みに近い。



















