容疑者は社員に「非弁行為じゃない。安心してね」

こうした谷本社長の言動に対し、社員たちは強烈な皮肉で返答することとなる。あえてライバル会社の退職代行を使って辞める従業員が続出したのだ。

「退職代行を使って辞めた方は5名いましたが、初めて退職代行を使われたとき、谷本社長は『ネタにしよう』と言ってYouTubeで動画にしていました。しかし批判が殺到し、その後は触れなくなりました。1名の方はSNSで度々うちを批判してた退職代行に頼んでいたようです。相当会社を憎んでいたのだと思います」

谷本社長自身は、かつて自身が働いていたのがブラック企業で「そうじゃない会社を作りたい」と語っていたという。しかし、結果として作り上げられたのは、かつて彼が憎んだはずの環境と同じ、あるいはそれ以上の恐怖支配による組織だった。

アルバトロス社が入っていたビル(撮影/集英社オンライン)
アルバトロス社が入っていたビル(撮影/集英社オンライン)
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パワハラだけでなく、今回逮捕容疑となった「非弁行為」についても、社内では巧妙な正当化が行われていた。元従業員によれば、会社としては「非弁行為に当たらないように」という意識を持っているように見せかけていたという。

「会社での会議のときに谷本社長から『非弁行為じゃない。安心してね』と言われていましたので、それを信じていました。ただ、一方で『弁護士が大丈夫だと思ってやってるんだから大丈夫でしょ』と軽く考えていたような部分も会社から感じられました」

現場の従業員たちが「相談者の助けになりたい」と純粋な使命感を持つ一方で、上層部は退職代行を単なる「お金のための新たなビジネスチャンス」と捉えていた節がある。元従業員は、キックバックについて社長から具体的な指示があったことを明かしている。

「谷本社長は『ワンチャン、キックバックが入るから公務員とか退職代行ができない人はどんどんそっち(弁護士事務所)に流してくれ』と言っていました。退職希望者に弁護士を紹介して正式に弁護士に依頼となった場合、モームリに紹介料として1万6500円程度のキックバックがされていました」

「退職代行のなくなる世の中になってほしい」――それが会社の願いだったと元従業員A氏は当時語っていた。しかし、その実現のためには、まず自らが法を遵守し、従業員を大切にする組織である必要があったはずだ。「それならまず自分たちの会社が『モームリ』と言われないようになっていってほしいですね」。元従業員のこの言葉が、今回の事件の本質を突いている。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班