「人生に無駄なことはない」

深謝さんは、28年間勤続した社会福祉法人で得た知見や、48歳の時に始まった義母の認知症、実父の心臓発作やアルコール依存、実母の大動脈乖離、そして53歳のときに91歳の義父がパーキンソン病という4人介護の経験を漫画として昇華することで、人生の壁をぶち破った。

「これまで身につけて来たすべてを注ぎ込み、“役に立つエンタメ”として価値を届けることができました。『諦めなければ道は拓ける』ということを身をもって実感しました」

深謝さんは現在、大好きな漫画を描きながら、妹と共に父と母を遠距離で介護し、二世帯同居する義父母を介護している。子どものころは妹と関係が良くなかったが、両親の介護を通じて「同志になった」と感じることができるようになった。

「『人生には、何ひとつ無駄なことはない』と18歳のアオくさいあの日の自分に言ってやりたいです。どんな黒歴史も、己を偽って過ごした30年も、全部、意味があったのだと思います。頭でっかちで通用しなかったり、ままならなさを思い知らされた社会人経験があったからこそ、何十回ボツになってもトライし続けられた。50歳からの挑戦で良かったと思ってます」

家庭でも学校でも居場所がなかった深謝さんだったが、現在は志を同じくする仲間に囲まれている。

「助けられることばかりです。仲間がいなければ、ここまで頑張れませんでした。収入は激減しましたし、将来の不安がないと言ったらウソになります。正直、介護と漫画で忙しくて、体はキツい。それでも、漫画を封印していた頃より幸せです。この道を貫き通して、次の景色を見たいと願っています」

夢を叶えることに年齢制限はない。結婚していても、親の介護をしていても、夢は叶えられる。

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取材・文/旦木瑞穂

深謝さんは平日朝30分、コツコツ絵の練習を続けている
深謝さんは平日朝30分、コツコツ絵の練習を続けている