「漫画家になりたい」という夢を封印した理由

家族仲が良くなく、外での集団生活にも馴染めなかった深謝さんを救ったのは漫画だった。

「小学校1年生の頃に『キャンディキャンディ』を読んでから、漠然と漫画家になりたいと思いました。2年生の時、同じクラスに漫画を描いている子がいたので、私も漫画をジャポニカ学習帳に描き始めると、クラスで回し読みされるようになったのが嬉しくて、休み時間はずっと漫画を描いていました」

その後、11歳で転校した先でも大好きな漫画を描き続け、中学高校と少女漫画雑誌『なかよし』に作品を投稿したものの、入選することはなかった。高校時には、漫画アニメ研究部で部長を務めたが、高3の時にすでに中学で漫画家デビューを果たしている1年生が入部してきた。

「画力、キャラ、ストーリー、背景など、すべてが完成されていて、私が一番憧れていた雑誌にも作品が掲載されていました。私はその後輩のレベルの高さに打ちのめされ、高校卒業の日に漫画道具を全て捨ててしまったんです」

深謝さんはお小遣いでコツコツと買い貯めた丸ペンやGペン、インクなどを全て処分し、漫画を描くことを完全に封印。漫画を見ることも辛くなり、書店の漫画コーナーに行くことすら避けるようになった。

22歳で大学を卒業後は首都圏の社会福祉法人に就職。大学時代から家族と折り合いが悪かったため、就職後はほとんど実家に帰ることはなかった。

小学生で漫画や絵に魅了された深謝さん。後にメディアデビューを果たした際に手掛けたテレビドラマ「SUPER RICH」の劇中絵。「90年代の少女漫画テイストで」という依頼に合わせ絵柄を調整した(画像/本人提供)
小学生で漫画や絵に魅了された深謝さん。後にメディアデビューを果たした際に手掛けたテレビドラマ「SUPER RICH」の劇中絵。「90年代の少女漫画テイストで」という依頼に合わせ絵柄を調整した(画像/本人提供)