被害が最悪だった2000年代…ステーキを貯食するカラス
越川氏が指摘したように2000年代はカラスの被害がもっともひどく、東京都は2001年9月に石原慎太郎知事(当時)のもと、「カラス対策プロジェクトチーム」を発足した。
個体数の調査のほか、ワナによる駆除に加え、自治体によっては、カラスからは中身が見えにくいとされる紫外線をカットする特殊な顔料を含む黄色い袋を導入して“ゴミ漁り”を防ぐなど、さまざまな対応策が実施された。
「まったく対策がされていなかった2000年代は、銀座などでは、カラスは我々よりも美味しいものを食べているという感じでした。有名なステーキ店のゴミ出しバケツに大きなステーキ肉のかたまりが捨てられていて、それをカラスたちが食べている光景がよく見られました。
食べ残した肉をカラスたちはくわえて、ビルの屋上の鉄骨の隙間などに隠して『貯食』(ちょしょく)をします。朝のゴミ収集は大体8時頃に来ることから、カラスにとっては夜明けから8時ぐらいまでが勝負の時間。その間にカラスたちはすでに朝食分のエサを食べて、残りは貯食して隠します。あとは悠々自適に遊んでお腹がすくと貯食した餌を食べるのです。生ゴミを栄養源として、個体数がどんどん増えてしまったのです」
カラスの生態研究を続けてきた越川氏は、「カラスを見ていると、人間の社会を見ている気分になる。人間社会の鏡みたいなもの」と指摘する。
「人間が生ゴミを増やせばカラスが増えていく。景気が悪くなってくるとゴミが減ってカラスも減っていく。カラスを調べていくと、最終的に人間というのは一体何なのか、人間社会というのは一体何なのかということを考えさせられます。
例えば、カラスによるさまざまな被害は、実はカラスが作り出したものではなくて、我々人間側で作り出した問題が原因となっています。ゴミ対策をすればカラスは自然に減っていくわけですから」













