強い繁殖力ゆえに増え続ける捕獲数
自然界では北米から中米にかけて棲息するアライグマは、胴の長さが最大で約60センチ、体重は最大10キロ程度。
雑食性で、国立環境研究所によれば、冷帯湿潤気候からサバナ気候、熱帯モンスーン気候まで、さまざまな環境で生き抜くことができる。毎年1~3月に交尾し、4~6月に出産を迎え、一度に3~6頭が生まれてくる。
日本における野生化は、1962年に愛知県犬山市の動物園から12頭が集団脱走したのが最初ではないかとみられている。
その後、アニメ「あらいぐまラスカル」の人気もあって1970代後半に飼育ブームが起きると、これが災いして各地で飼えなくなった人が山に捨て、自然環境下での定着が始まったらしい。
アライグマは畑の作物を食い荒らすため、鳥獣保護法上の狩猟獣に指定されているだけでなく、外来生物法により「特定外来生物」にも指定されている。しかし、いくら捕獲しても繁殖数が上回る実態がある。
環境省によると、全国の捕獲数は2000年度に797頭だったのが、2010年度には24810頭に。さらに10年後の2020年度には96049頭と増え続けている。農林水産省の集計では、2022年度の農産物の被害額は4億5600万円にものぼる。
農作物の被害を無視できなくなった自治体が対策を強化する中で捕獲数が増えたという事情はあるが、対策を強めてもその繁殖力の強さには追いつかないようだ。