「ちょっと変わっているけど優秀」を活かす中小企業の強み
──女性の採用・育成が評価されていますが、具体的にどのような取り組みをされていますか?
かつて製造業は「男性中心」というイメージがあった時代もありましたが、当社では女性の力が不可欠だと考えています。だからこそ、結婚・出産に寄り添える制度を整え、一度退職しても正社員で復帰しやすい仕組みをつくりました。時短勤務など柔軟な働き方も取り入れています。
子どもは急に熱が出ることがあるので、簡単に休めない職場では働きにくいですよね。そこで当社では、「今日、休みます」とメールを送るだけで休める、シンプルなルールを導入しました。コロナ禍では、保育園や学童が休止した際に、子どもを連れて出社することも認めています。
1人ひとりの事情に合わせた柔軟な働き方を設計できるのは、少人数の中小企業だからこその強みだと思います。
──社員一人ひとりの事情や個性に合わせられると、採用の幅も広がりそうですね。
そうですね。「少し変わっているけれど、とても優秀」という人材を受け入れられるのも中小企業ならではだと思います。
当社には「ものづくり戦略室」という曖昧な部署があり、システムエンジニアやデザイナーといった人材が在籍しています。彼らは、外注すれば1か月かかるようなプロダクトデザインや画像を1時間で仕上げてしまうこともある。
ただ、いっぽうで遅刻をしたり、報告を忘れてしまうという人もいて、一般的な会社では受け入れるのが難しい側面もあったんです。
そこで、彼ら専用の部署を設けることで、社内の軋轢を生まずに能力を発揮できる環境を整えました。こうした施策を社内の反発を押してでも実現できるのは、社長の判断で柔軟に動ける中小企業ならではの特性だと思います。
──こうした人材戦略を実行するなかで、次のステップが見えてきていますか。
はい。少子化による人材不足に対応するためロボットを活用した新しい塗装工場を建設予定です。目指すのは鯖江にわざわざ足を運びたくなる学びや発見のある拠点をつくること。これまで取り組んできた環境づくりや人材の活かし方を、次の世代につなげていく場所にできればと考えています。
出典
※パーソル総合研究所 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/thinktank-column/202511140001/
取材・文/福永太郎
撮影/石田壮一












