若者に中小企業を選んでもらうには? 

──そうした状況のなか、御社では毎年安定した採用を実現。学生の就職先として選んでもらうためにどのような取り組みをしていますか?

2018年頃から、会社の魅力を高めようと決めて、まずは「働く環境を良くすること」から始めました。やっぱり多くの人は「どうせ就職するなら大企業のほうが安定していて条件も良い」と思うじゃないですか。

そんななかで中小企業を選んでもらうには、合理的な理由ではなく、心理的な“ここで働きたい”という気持ちが必要だと思ったんです。だからこそ、「気持ちよく働ける」と感じてもらえる会社づくりに取り組みました。

──具体的にはどのような施策を?

お恥ずかしい話ですが、一番初めに取り組んだのは朝の挨拶です。それまでは「おはよう」と言っても返事がない。お客さまが来ても「誰か対応して」と他人任せ。そこで、まずは挨拶といった基本的なところから徹底しました。

今では、来客が通ると事務所スタッフ全員が立ち上がってお辞儀をするのが自然になっています。小さなことですが、雰囲気がガラッと変わりましたね。

それから、会社負担で「飲み会」を推奨しています。最近は「飲み会離れ」なんていわれますが、原因は飲み会そのものが嫌なんじゃなくて、社長や先輩に気を遣うのがしんどいからだと思うんです。気兼ねなく本音を話せるような飲み会があれば、良好な人間関係にもつながると考えています。

食堂内のボードには福利厚生がわかりやすく掲示されている
食堂内のボードには福利厚生がわかりやすく掲示されている

──製造業には労働環境が厳しいというイメージもあると思います。

「工場は臭くて当たり前」と考える経営者も多いですが、まずそこを疑いました。当社の場合は、調べてみるとにおいの原因は使っていたシンナーにあったんです。そこで、より高品質なシンナーに切り替え、さらにバクテリア資材を使ってにおいを分解。今ではにおいのしないクリーンな工場になっています。

また、「3K(きれい・かんたん・きもちいい)」を掲げて、毎日就業時間に掃除する活動も始めて、社内も整理整頓されて、本当にきれいになりましたね。

食堂も改装しました。先代から「会社の利益にならないところにお金をつかうのは経営失格」といわれながらも、カフェのような雰囲気を目指して改装。高校生が保護者と見学に来たときは、必ずそこを見てもらうようにしています。

親御さんにとって、わが子が働く場所の清潔さは重視されるポイント。実際にきれいな食堂を見たことが決め手で採用につながったケースもあるんです。

株式会社ワカヤマの食堂
株式会社ワカヤマの食堂

──良い環境づくりを突き詰めていったら、結果として若手の採用につながったんですね。

そうですね。製造業は「ネイル・派手髪NG」というイメージがありますが、当社は自由です。高校までは「髪色を変えるな」「ネイル禁止」と厳しく縛られていた子たちにとって、それだけで働きたい理由になるんですよね。