「ここ5、6年で独身偽装事件はかなり増えています」
なぜAは妻子がいながら独身向けのアプリを使い、相田さんに独身だと偽ったのか。マッチングアプリに詳しいライターの倉田達也氏はこう解説する。
「既婚者同士のマッチングアプリも存在しますが、基本的に男性の既婚者で出会いを求める方は“スレてない女性”を求めてスリルを味わう傾向にあり、“自分と同じ不倫目的の女性”には魅力を感じないことが多い。独身偽装の被害に遭うのはほとんどが女性で、男性が被害に遭ったというケースは聞いたことがありませんね」
独身偽装事件を多く扱い、男女間トラブルに詳しい弁護士の川面武氏は「独身偽装事件は裁判所が認定する慰謝料水準が非常に低額にとどまることが多いのが問題だ」と言う。
「日本では不貞相手のみを対象にした損害賠償請求事件の判決では遺憾ながら100万円を超える事件もザラですが、独身偽装事件は判決になると20万円から100万円程度のものが多いです。かなり被害者がひどい扱いを受けているケースも多いのに慰謝料水準が低過ぎるのは問題で、より被害に見合った判断がされるように認識が高まると良いと思います。
また、ここ5、6年でマッチングアプリによる独身偽装の相談件数は増えていると実感します。こうした事案については『既婚者◯◯』が『独身者◯◯』であるとあえて人格の同一性を偽ってプロフィール表示している点で文書偽造などの刑事罰の対象にすべきであると思います」
相田さんは最後にこう付け加えた。
「私はAが既婚者だと知っていたら会うこともなかったし、性交渉にも同意しませんでした。200回以上にも及んだAとの行為は性的搾取に他なりません。Aがホテルでリモート勤務する前に部屋を出ようとした私を引き止め、Aは取引相手の会社名やその取引内容を私に聞かせました。その会社名はもちろん誰もが知る大手企業で商談規模もかなり大きなもので、完全にコンプラ違反です。そんなAは社内で懲罰がくだることもなく、会社名や実名が出ることもなく、社会的制裁が一切加えられないことには疑問を感じます」
判決文にはこうある。
「被告は部屋でリモートワークを行いながら、陰茎を扱うなどした。また、被告は、同日、被告のリモート会議の予定時間になっても、原告との性行為を継続した」
今後、独身偽装は厳罰化されるのか――。
取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班














