保護者の認識の甘さについて歯痒さを感じる教師も
こうした性的ディープフェイク問題を教師たちはどう対処しているのか。
都内の公立中学の女性教諭によると「基本的にスマホは学校に持ち込み禁止としているため、その問題に学校が関わることはないが、指導せざるを得ない状況に見舞われることもある」という。
「実は本校でも中学1年生の女子生徒が校内にスマホを持参し、職員の目の届きにくいトイレで記念撮影してInstagramのストーリーに投稿するという事案が起きました。別生徒が申告してきたことで発覚しました。
私は躊躇いながらも『あなたたちの顔にAIで他人の裸の体をくっつけられネットに挙げられる可能性もある』ことを指導しました。女子生徒に裸という言葉を使うのは勇気がいりましたが、気軽にSNSに写真を投稿するという行為がどれだけ危険か具体性をもって話さないと伝わらないと思ったからです」(前同)
女性教諭は生徒に指導したその日に保護者にも連絡を入れたが、保護者の認識の甘さについても歯痒さを感じたそうだ。
「その保護者は『放課後であればストーリーに投稿しても問題ない』という認識でいたことに愕然としました。学校であれ、放課後であれネットに画像があがることが生成AIの素材になり得るわけで、未成年のネットの画像投稿は十分に気をつけなければいけないということを伝えました。家庭ごとに反応の違いこそあれ『それは知らなかった』と感謝されました」
前出の髙橋弁護士によれば「子どもにスマホを持たせた段階で、親子で画像の取り扱いにおける配慮について話し合うべき」と言う。
「男子高校生くらいにもなると彼女との性行為を、相手女性に同意もなく無断で撮っているケースもある。それらを同級生のLINEグループに拡散する場合もある。
画像にして共有した段階ですでにデジタルタトゥーです。教育現場はもちろん家庭でも性的ディープフェイク問題や画像の取り扱いについて話し合う必要があると思います」
警察庁によると、性的ディープフェイクによる名誉毀損やわいせつ電磁的記録媒体陳列などの疑いで、今年1月から9月にかけて少年6人が補導されたという。
性的画像の公開はもちろん生成AIで加工するという行為やそれらの公開は、被害者に消えない傷を残す許されない行為だ。AI利用の道徳教育の改革急務が求められている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













